巨人はやはりソフトバンクに完敗…個人タイトル数で見えたプロ野球の“超格差社会”
プロ野球でペナントレースを勝ち抜いて優勝するためには、投打で個人タイトルを獲るような選手が何人もいなければ難しい。事実、これまでの球史においてタイトルホルダーを1人も出さずに優勝したチームは存在していない。
そこで、投手では「最優秀防御率」「最多勝利」「勝率第1位」「最多セーブ」「最優秀中継ぎ」「最多奪三振」「沢村賞」の7部門、野手では「首位打者」「最多本塁打」「最多打点」「最多安打」「最多盗塁」「最高出塁率」の6部門について、楽天が新たに参入して現状のセ・パ12球団となった2005年から2020年までの16年間で、各チームがいくつタイトルを獲っているかを調べ、優勝回数と比較してみた。
投手部門で27回
まず、セ・リーグ。16年間で8回の優勝を記録した巨人が、投打合わせ43回で最も多い。以下、中日37回、ヤクルト36回、阪神32回の順となったが、このうち目を引くのが16年間で2015年の1回しか優勝のなかったヤクルトだ。
特筆すべきなのが、打者タイトルの総数。巨人の16回に対して28回を数え、野手部門2位のDeNAの17回をも大きく上回っている。優勝した15年には川端慎吾、山田哲人、畠山和洋の3人で野手6部門全てを独占する史上6回目、しかも打率、本塁打、打点の3冠部門に限れば、1位と2位を同一球団の選手が占めるという、史上初の快挙も成し遂げている。
しかしながら、投手タイトルの総数はといえば、わずかに8回を数えるのみ。19年、20年と2年連続リーグ最下位に終わり、しかも2年連続チーム防御率が両リーグワーストだっただけに、投手陣の立て直しが急務なのはこれを見ても明らかだろう。
一方、巨人は投手部門で27回(2位・中日22回)と圧倒的な力を見せつけた。16年間で最多勝利が7回、最多奪三振が6回、最優秀防御率が5回(広島と同数)でいずれもリーグ1位という鉄壁の投手力があれば、8回の優勝も当然かもしれない。
また、広島は16年~18年の3連覇があるものの、それ以外の13年間は全てBクラスということもあってか27回にとどまり、16年間一度も優勝のなかったDeNAの23回をわずかに上回っているにすぎない。27回の内訳は、投手16回に対して打者11回。こちらはヤクルトとは逆に打線の強化が課題といえそうだ。
ちなみに、この16年間でタイトルホルダーを出すことができなかったのは、阪神の最多本塁打、最優秀防御率、沢村賞。そして、広島の最多打点、最多セーブ、最優秀中継ぎ、ヤクルトの最多奪三振、沢村賞である。
このうち、タイトル奪取から最も遠ざかっているのは、阪神の最多本塁打。バースが2年連続の三冠王になった86年以降、34年間も出ていない。それだけに昨シーズン、最後の最後まで岡本和真(巨人)、村上宗隆(ヤクルト)らとタイトルを争った大山悠輔のバットに注目したいものだ。
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