田中角栄が愛した名門ゴルフ場で内紛 “打ち込み”を巡り裁判沙汰に
古くは田中角栄元総理が“帝王”ジャック・ニクラウスとラウンドしたことでも知られる超名門ゴルフ場である。そんな小金井カントリー倶楽部が、いま大揺れに揺れている。会員同士のトラブルは理事の辞任要求にまで発展して――。
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ゴルフジャーナリストの児島宏氏によれば、
「小金井カントリー倶楽部は都心から近い立地にあり、政財界や芸能界の関係者に好まれています。コース設計も素晴らしく、とりわけバンカーや池の配置が絶妙。ゴルフ好きの間では“小金井の会員”というだけでステータスです」
実際、バブル期には会員権の相場が4億円とまで囁かれた。それほどの名門クラブを舞台に“内紛騒動”が持ち上がっているのだ。
会員のひとりが言う。
「事の発端は昨年10月上旬。クラブのロッカールームに、ある会員に対する退会勧告の通達が貼り出されたんです。ラウンド中に前組のメンバーとコース内の樹木の伐採を巡って言い争いになって、その後に“打ち込み”をしてしまったらしい」
ゴルフを嗜まない方に解説すると、打ち込みとは、前を行く組との距離が十分に離れていない状態で、ショットを打ってしまう行為を指す。
「打ち込みがいけないというのは、ゴルフのエチケットでいえばイロハの“イ”です。相手にボールが当たれば危険だし、プレーの妨げにもなる。ホールの長短にもよりますが、前組がホールアウトするか、少なくともグリーンに上ってからでないと、後のプレーヤーはショットを打つべきではありません」(児島氏)
打ち込みが事実なら、厳しい処分も理解できなくはない。だが、この一件は思わぬ展開を見せるのだった。
クラブを告訴
先の会員が続ける。
「クラブの理事会は、この会員に“退会勧告”という重い決議を下しました。しかし、まもなくこの会員が決議の“無効確認”を求め、クラブを相手取って裁判を起こした。さらに、この件に関する調査委員会まで立ち上がっています。その報告書によれば、前組のプレーヤーが〈「意図的に打ち込んだのではないか」と疑念を抱いてもおかしくない状況であったと考えられる〉としながらも、処分は妥当でないと指摘。“打ち込まれた側”の会員が理事として決議に参加した点などが、〈会則に違反する〉と断じました」
この調査報告書が出回るや、有志のメンバーが、決議に賛成した理事8人に対して辞任を求める事態に。
提訴した会員の弁護士は、
「前組の方と議論になったのは事実ですが、そもそも打ち込みはしていないと主張しています」
と、理事会の決議に真っ向から異を唱える。
自身も辞任を求められた村越政雄理事長は、
「係争中の案件なのでいまは一切話せません」
いまだ真相は藪の中だが、紳士の社交場らしからぬ内紛騒動は当分、収まりそうにない。