田口麗斗はヤクルトでローテ入りも…巨人を出る喜びを知ってしまった男たち

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 3月1日、巨人の田口麗斗投手とヤクルトの広岡大志選手のトレードが発表された。慢性的な投手不足に悩むヤクルトと若手の強打者が少ない巨人の思惑が一致した格好だが、シーズン開幕まで1カ月を切ったこの時期に一軍戦力を交換するというのは珍しいことである。

 広岡は4日の古巣ヤクルトとのオープン戦でいきなりホームランを放ち期待に応えてみせたが、活躍の機会ということを考えると、田口の方が多くなる可能性が高いだろう。冒頭でも触れたように、ヤクルトの投手力不足は深刻であり、左の先発候補となると大ベテランの石川雅規、先日結婚を発表した高橋奎二、ドラフト2位ルーキーの山野太一くらいしか名前が出てこないのが現状である。田口にとってもエースの菅野智之が残留し、実績のある井納翔一が加わった巨人よりも多くチャンスを与えられることは間違いない。過去2年間はリリーフに回っているが、これを機に鮮やかな復活という可能性も十分にあるだろう。

いきなりブレイク

 今回の田口のようにトレードなどで巨人から移籍したことをきっかけに飛躍を果たした選手は少なくない。近年の代表例は、何と言っても大田泰示(日本ハム)だろう。2球団競合の末、ドラフト1位で巨人に入団し、松井秀喜がつけていた背番号55をいきなり与えられたが、巨人在籍の8年間で放ったホームランは9本と高い期待に応えることはできなかった。

 それが2017年から日本ハムに移籍すると1年目からいきなり110安打、15本塁打とブレイク。その後も安定した成績を残し、完全にチームの中心選手へと成長を遂げたのだ。入団当初は確実性に乏しく、ようやくプロの一軍レベルに慣れてきた時期でのトレードというタイミングの良さはあったものの、巨人に残り続けていたら既にユニフォームを脱いでいた可能性も大きかったはずだ。まさに選手生命を大きく変えたトレードの一つと言える。

 少し古い話になるが、大田と同じようにパ・リーグへの移籍をきっかけに大きく飛躍したのが吉岡雄二だ。帝京ではエースとして3年夏の甲子園優勝を果たし、ドラフト3位で巨人に入団。4年目の1993年から打者に転向すると、二軍では毎年中軸として見事な成績を残したが、ちょうどFA制度ができた時期も重なって一軍では出場機会をなかなか得ることができず、巨人では実働3年で5本塁打に終わっている。

 しかし、1997年に近鉄にトレードで移籍すると、2年目からはファーストのレギュラーに定着。“いてまえ打線”の一角として2001年には26本塁打、85打点をマークし、チームの優勝に大きく貢献した。2005年には、近鉄とオリックスとの球団合併に伴う「分配ドラフト」で楽天に移籍し、戦力不足のチームの中で打率.282、10本塁打、52打点の成績を残している。2008年に楽天を退団した後はメキシコリーグでもプレーし、その後は国内独立リーグのコーチ、監督などを歴任している。シーズンオフのバラエティー番組では、金属バットの使用ながら現役顔負けの打撃を見せており、今年で50歳ながらその打棒はまだまだ健在だ。

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