「井上靖」が「山崎豊子」に送った“凄絶な言葉”とは 作家の言葉は後世の人間にも影響
井上靖の手紙にあった「橋は焼かれた」
井上靖文学館学芸員の徳山加陽さん。昨年刊行された『地図で読む松本清張』(帝国書院刊)の編集に関わることを打診されたとき、ある文豪が残した一言に励まされ、前に進むことができたそう。
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「直木賞受賞おめでとう/橋は焼かれた」一通の葉書を山崎豊子(やまさきとよこ)は受け取った。1958年、差出人は井上靖(いのうえやすし)。
「作家としての確たる覚悟を促すために、小説を書くという修羅場で、既に橋は焼かれた、もはや退くことはできないという言葉を贈って下さったのだと思う。...