「夫がにくたらしい」新五輪大臣・丸川珠代が抱える家庭危機 

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「女性蔑視」発言の影響で、来る東京五輪の顔役は女性ばかりが目立つ格好となった。中でも五輪担当の新大臣は、フレッシュで知的、そして家庭的なイメージをウリにする自民党期待の女性議員。そんな彼女もひとたび家に帰れば、解決できない難問を抱えていて……。

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 金色のドレスに身を包み、皇居での認証式に臨んだ女性新大臣の顔は、晴れ晴れとしていた。

「橋本会長の思いを背負って、アスリートを支援していきたい」

 そう口にした丸川珠代・五輪担当大臣(50)は、新しく東京五輪組織委員会のトップとなった橋本聖子会長(56)を立ててみせた。

 森喜朗元首相(83)の舌禍騒動を受けて就任した橋本会長は、7月に予定されている東京五輪で、日本選手団が獲得する金メダルは30個との目標を掲げていたのだ。これで開催都市の首長である小池百合子都知事(68)を含め、大会運営に携わる「五輪の顔」は3人すべてが女性となった。

 中でも最若手として五輪大臣に返り咲いた丸川氏は、自民党参議院議員として当選3回ながら、都合3度目の閣僚に抜擢されたことになる。菅総理直々のご指名と聞けば、党内での存在感は増すばかりなのだ。

 東大卒の才媛で、テレビ朝日のアナウンサーから一転、2007年に政界入りを果たして順風満帆な人生のように見える。だが、コロナで未だ開催方法も定まらず、調整課題は多岐にわたる。万が一、中止となれば敗戦処理も待っている。未知なる難題に挑む運命を背負った彼女は、人知れぬ悩みを抱えているという。

「丸川さんにとってのアキレス腱は夫婦関係。彼女自身、“夫といつまで続くのか”“このままでよいのか”とこぼしていましてね……」

 と明かすのは、ある自民党関係者である。

「9年前に第1子となる長男を産み、子育てをしながら政治活動を続けてきた彼女は、党内からも女性活躍の象徴として持て囃されてきた。国会でも女性の労働環境整備や幼児教育の拡充などを訴えてきましたが、永田町では夫との不仲が囁かれ続けているのです」

 丸川大臣の夫は、自民党衆院議員の大塚拓氏(47)。靴メーカーの創業者一族に生まれ、慶大卒業後に米・ハーバード大大学院へ進み、旧東京三菱銀行から「小泉チルドレン」として永田町の住人となった。現在は当選4期、安倍政権下では財務副大臣や内閣府副大臣を務めてきた経歴を持つ。

 そんな非の打ちどころのないエリートカップルが、契りを交わしたのは08年のこと。披露宴には小泉元首相や安倍前首相が祝辞を述べ、将来を嘱望される夫妻だったわけだが、大塚氏の“古巣”である財務省ではこんな逸話が語り種となっている。

 ある財務省関係者曰く、

「大塚さんが副大臣時代、マスコミとの懇親会を終えて帰宅した彼の携帯に、女性記者からお礼のメールが届いたそうなんです。それをこっそり見た丸川さんは、彼になりすまして女性記者に性的関係を持ち掛ける文面のメールを送信。驚いた記者が後日、大塚さんに真意を質したことで“事件”が発覚し、いったい夫婦仲はどうなっているのかと話題になりましたね」

 にわかには信じがたい話が流れるほど、新大臣とエリート夫の間にはすきま風が吹いているのか。かような“メール事件”の背景には、育児を巡る軋轢があったという。

“夫がにくたらしい”

 夫婦共通の知人によると、

「大塚さんは寝てしまうと朝まで起きない体質で、夜泣きをする子供の面倒は丸川さんがみてきた。料理も積極的ではなく、後片付けを手伝うことはあっても、皿の入れ方が分からないからと食洗器を使わず手洗いするなど、ささいなことでも丸川さんのイライラが募る日々が続いていたようです。彼女は“夫がにくたらしい。選挙になると応援しちゃうけど……”と、周囲に漏らしていました」

 もともと二人の住まいは都内のマンションだったが、東京選挙区の丸川大臣と異なり、大塚氏は埼玉9区選出なので拠点は入間市。それが互いの溝を深める一因になってしまったそうだ。

 先の知人が続けるには、

「落選経験のある大塚さんは、支援者を集めるため週末はもちろん平日も埼玉に泊まることが多く、どうしても子育ては丸川さんに負担がかかっていた。そうした鬱積が重なり、普段は勝気の丸川さんも“2人目は無理”と弱音を吐き、互いの予定も秘書を通じて行うなど、夫婦間のコミュニケーションが取れない状況が続いていました。昨年、一家は大塚さんの母親が住む都内の邸宅に引っ越しましたが、夫婦の危機が回避されたという話は聞こえてきません」

 危機に晒される五輪運営を推進するうえで、夫の後方支援は得られそうにない。そんな二人の距離感を象徴する一幕もあった。

 政治部記者が言う。

「昨年4月、大塚議員は30代の女性秘書がコロナに感染してしまい、2週間ほど外出を自粛していたのですが、その間も丸川大臣は国会に出席。家庭内でも二人のディスタンスは保たれたままなのかと、訝しむ声も上がっていました」

 大塚議員はこう弁明したそうだ。感染した秘書の「濃厚接触者」とは認定されなかったので、大事をとった。妻は国会に登院して問題ない旨、保健所から許可が下りたと。

「事実そうであっても、コロナであらぬ噂が囁かれるくらい“仮面夫婦”なのは永田町でも知られた話。有名私立小に通うご子息が、受験に合格した時点で、離婚するのではないかと言われた時期もありました」(前出の知人)

 ことの真偽を丸川氏、大塚氏双方の事務所に尋ねてみれば、ここでは夫婦が足並み揃え、以下の形で同じ回答を書面で寄せた。

〈夫婦共々多忙であることは事実ですが、与えられた職責を果たしつつ、育児や夫婦関係については夫婦協力のもと、様々な工夫をしながらなんとかやりくりをしているのが実情です。こうした中、未成年の子供をも巻き込む報道は、率直に言って甚だ迷惑です。子供の健全な育成のためにも、プライバシーに関わる一切の取材・報道は厳にお控えいただくようお願い致します〉

 改めて夫妻の自宅を訪ねたところ、丸川大臣のSPや警官が集まり厳戒態勢。本誌(「週刊新潮」)記者の呼びかけには応じない代わりに、シャッターが閉じられた車庫の奥から、大塚氏と思しき男性が“プライバシーの問題だと回答してんのにさ”と、周囲に対して怒りをぶちまけていたのだった。

「舌鋒鋭く批判」

 かたや丸川五輪相の前任の橋本会長は、子育て議員の先駆者として知られる。1998年に警視庁のSPと入籍を果たしているが、前出の記者に言わせれば、

「前妻に先立たれたご主人には3人の連れ子がいて、橋本さんは結婚後3人の子を授かったので、計6人の子供と夫で暮らしています。彼女は00年に初出産、現職国会議員としては51年ぶり2人目ということで、参院議員として初の『産休』が認められたのです」

 元JOC職員で五輪選手団本部員として橋本氏と3度の五輪を共にしたスポーツコンサルタントの春日良一氏は、

「橋本さんのお子さんである『せいかちゃん』と私の次女が同い年で、私の妻(元水泳選手でオリンピアンの長崎宏子さん)が開いた子育てスイミング教室に、通ってくださっていました。子育てやスポーツ教育に関心が高いのでしょう」

 そう振り返った上で、

「私が知る限り、橋本さんは出しゃばるタイプでは全くなく、むしろ人前に出るのが苦手で控えめな人ですね。だからスケート連盟の会長に選ばれたり政治家に転身した時は、とても驚きました。今回も会長職に手を上げたというより、引き受けざるを得ない状況になった側面が強いと思います」

 こちらは丸川氏とは、そうそうぶつかる局面もありそうにない。しかし、もう一人の「五輪の顔」である小池氏との関係はというと、およそ良好とは言い難い。

 前出の党関係者に聞くと、

「16年の都知事選で自民候補の応援に立った丸川氏は、小池氏を舌鋒鋭く批判した過去がある。丸川氏が1回目の五輪相として入閣を果たした際、小池都知事は“頑張って”と激励して表向きはノーサイドを装います。ところが、昨年の都知事選では水面下で自民党の都連とタッグを組んで丸川さんが出馬を模索。資金面などで折り合いがつかず断念しましたが、二人がこうもライバル関係にある以上、五輪でトップ同士による調整が必要な局面になっても、緊密に連絡を取り合うのは難しいと思いますね」

 小池都知事といえば、森氏による件の舌禍事件の最中にIOC会長、五輪相、組織委会長らとの4者会談への出席を拒否。これが決定打となり、森氏辞任への流れができたわけだが、

「当初から、菅官邸は森氏の後継には橋本氏、五輪相に丸川氏を起用する方向でした。女性ということで世間体もよいし、小池氏の存在感を薄める目論みもあった。そんな小池氏は、7月の都議選後、五輪を経て衆院選への出馬も囁かれている。参院からの鞍替えを模索している丸川さんにとっても、小池さんの存在感を打ち消すべく、五輪相として発言を増やしていくのでは」(前出記者)

 果たして夫婦の危機を乗り越え、個性の強い女性たちが伍す中で、丸川大臣は「五輪の顔」としての注目を集めることができるだろうか。

週刊新潮 2021年3月4日号掲載

特集「新五輪大臣にこれだけの不安 『丸川珠代』仮面夫婦の危機」より

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