周東を超えるか…俊足ルーキー「五十幡亮汰」「並木秀尊」が残していた驚愕タイム

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驚異的なタイム

 そしてもうひとり。五十幡が出遅れている間に、キャンプで評価を上げたのがドラフト5位でヤクルトに入団した並木秀尊だ。所属していた独協大は、首都大学リーグの二部だったことから無名の存在だった。しかし、俊足が評価されて3年秋に行われた大学日本代表候補の合宿に参加すると、50メートル走のタイムで、五十幡を上回る数字をマークして関係者を驚かせた。

 筆者が初めて並木のプレーを見たのは、この合宿で有名になる約1年前、2年秋の城西大戦だった。この試合で「三塁到達タイム」は最速11.31秒をマークしたほか、4年春の東北公益文科大とのオープン戦では、多くのスカウトが居並ぶ前で、「一塁到達タイム」は最速3.88秒という数字を叩き出した。左打者の周東や五十幡とは違い、並木は右打者だ。右打者は一塁ベースから遠いという点を踏まえると、並木のタイムは驚異的である。

 以前と比べて、投手のクイックモーションや捕手のスローイングのレベルが向上したことで盗塁の成功率が下がり、データ分析の観点から「盗塁の作戦としての有効性」が否定的に論じられることが増えた。しかしながら、周東の活躍で改めて、その価値が見直されたことは間違いない。近い将来、周東を含めて五十幡、並木の3人が、元阪急の福本豊が持つシーズン106盗塁(1972年)に迫るような高レベルな争いをみせてくれることを大いに期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年3月1日掲載

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