NGなしの強心臓 鷲見玲奈はフリーアナ界の勢力図を変えるのか?
フリー女子アナ戦国時代、一強に躍り出た鷲見玲奈さん。かつてはテレビ東京の人気局アナだったが、30歳という節目を見すえてフリーに転身。先輩アナウンサーとの不倫疑惑もあったものの、持ち前の美貌と明るいキャラで大活躍だ。
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鷲見さんの強さは、絶妙な安っぽさである。飾らなさともちょっと違う。かといって、「高嶺の花」感をあえて消しているのよ、という小賢しさもない。むしろ、行き当たりばったりのような姿勢さえうかがえる。一見きちんとしていても、どこかチグハグで、無頓着な様子が見えることが多いのだ。
潔白と言いつつ、不倫を報じた週刊誌のグラビアに登場。レギュラーだった「家、ついて行ってイイですか?」で涙ながらにテレ東愛を語りながら、独立後にあっさり裏番組に出演。その裏番組ではスレンダーに見せたいと言いながら、巨乳が強調されるピタピタしたニットばかり着ているのを指摘されていた。マッチングアプリをやっていたことも、恋愛相手に求める年収もなんでもしゃべる。隙がありすぎるというか、おおらかというか。そこに色気や愛嬌を感じる人もいれば、だらしなさを感じる人もいるだろう。いずれにせよ、「嫌われないこと」を良しとする女子アナの枠を、大幅に超えている人である。
フリー転身にあたっては、オファーのあった仕事はなんでもやるという意欲を語っていた鷲見さん。宣言通り、来るもの拒まずの奮闘ぶりを見せている。セーラー服や体操着のコスプレも辞さず、ボトックス経験や貢ぎ体質も告白。筋トレ動画を投稿する一方で、深夜にカップ麺を食べてしまうダメっぷりも明かす。後輩ディスりや嫌いな女性のタイプも赤裸々に答え、毒っ気もなかなかのものだ。先日はドラマ出演も果たし、堂々たるキスシーンを披露して話題になった。器用さを褒める声が上がる一方で、フリーアナとは名ばかりの勘違いタレント、と冷ややかな声も聞かれる。
しかし、その「定まらないキャラ」というのは強みではないだろうか。挑戦と失敗を繰り返して検証を重ねるタフな精神力と体力の証でもある。そしてフリーに転身した局アナの明暗を分けているのは、キャラを決めつけないということのように思う。
「一周回って」愛された高橋真麻や田中みな実 プライドと値段が反比例するフリーアナたち
成功したフリーアナたちによく使われる、「一周回って好き」という褒め言葉。局アナ時代の殻を破り、キャラを1周半くらい回転させた女性たちに与えられる。例えば高橋真麻さん。当初は「コネ入社」と叩かれ、フジテレビ時代から歌のうまさばかりを押し出したキワモノ扱いだった。潮目を変えたのは、テレビ東京でのずぶ濡れの台風中継だっただろう。カメラ映りも気にしない真剣な様子、聞き取りやすい声質やレポートぶりも含めて、実力派であることを知らしめた。今ではさまざまな番組でコメンテーターを務め、硬軟どちらも得意な安定感ある地位を手に入れている。
また田中みな実さんも、キャラの変化を重ねて人気を築いた人だ。ぶりっこキャラから自虐キャラへ、そして同性の憧れたる美容番長に。現在は女優業にもシフトしている。二人の共通点はやはり、「タレント気取り」「何がしたいかわからない」と言われても、変化球の仕事に向き合い続けて今の人気につながっていることではないだろうか。
一方で、局アナ時代から良くも悪くもイメージが変わらない人は伸び悩んでいるイメージだ。加藤綾子さんしかり、宇垣美里さんしかり。彼女たちもCM出演やコスプレなど、異分野で注目を集めることもある。しかし、「きれいなお姉さん」の延長線上で、お茶の間の感情を「一周回らせる」ほどの強さはない。特に宇垣さんは「相手の土俵に乗らない」というファイティングポーズを徹底して崩さないので、一周回したくとも回させてくれない感じがするほどだ。
自分のイメージを固定させては、なかなか出番は広がらない。おそらくプライドの高さと、フリーアナとしての値段は反比例する。きれいなお姉さんというだけでは女優やアイドルに勝てないし、しゃべりのうまさや面白さでは芸人やYouTuberに軍配が上がる。中途半端で不安定なポジションだからこそ、打席に立ったらとにかくバットを振る。見逃しは話題にならないが、笑えるほどの空振りならまたそれもネタになる。きっと鷲見さんは、そうわかっているのだろう。
安っぽいのではない、サービス精神が抜きん出て旺盛なのだと言い直すべきだった。一周回って高値をつけるポテンシャルを持っている鷲見さん。とはいえ何でも安請け合いしすぎては、今後のフリーアナ界に価格破壊を引き起こしそうで心配だ。実は「夢は革命家」と語るテレビ朝日の弘中綾香アナと同期にあたるが、意外と鷲見さんみたいな人が、世間を一周回すのかもしれない。