巨人ドラ5「秋広優人」、“未完の二刀流”だった二松学舎付高時代を振り返る

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読売スカウトからの評価

 とはいえ、3年間で一度も甲子園出場を果たすことが出来ず、中央球界では無名の存在で終わった。それでもその“スケールの大きさ”はスカウトには魅力だった。打ってはフルスイングで強い打球を飛ばす左の強打者で、逆方向にも大きい打球を放てる。高校通算23発を誇っているが、内角球を巧みにさばいてヒットにする技術も光っていることから、野手として高い評価を与えるスカウトが多数だった。

 投げては最速144キロのストレートと多彩な変化球もある。なかでも長身から投げ下ろすフォークは、角度があるだけに手を焼く打者が多かった。本格的に投手を始めたのが高2の秋からと伸びしろが十分見込めた点も大きかった。

 かくして“未完の二刀流”の将来性を高く評価する球団が続出することとなるわけだが、なかでも高く評価していたのが読売ジャイアンツのスカウト陣であった。「2メートルの割りにバランスがいい。打撃もいいし、走塁も積極的。伸びしろがある」「見るたびに凄さを増している。計り知れない」「長い腕を使いキレのあるボールを投げる。変化球も器用に投げることができる。打撃は広角に長打が打てるパワーが魅力。野手としてもまだまだ可能性があり、将来が楽しみ」と大絶賛だったのである。

 こうしてドラフト5位ながら、高い期待を背負って入団。二刀流への挑戦も検討されたが、器用さとパワーを兼ね備えた打撃力は捨て難かった、本人も野手で勝負したいという意向だったこともあり、まずは“野手”としてプロ野球選手としての第一歩を踏み出すことに。

 そこから早くも頭角を現したわけだから、恐れ入るしかない。読売は去年のドラフトで近畿大の佐藤輝明を1位で指名したものの、抽選で阪神タイガースにさらわれている。だが、左の大砲を必要としていたチームは、その佐藤と同じ右投げ左打ちの秋広を敢然と指名。豊かな将来性を考えると、実はこれが正解だったと思えるほどだ。

 新型コロナウイルスの影響で新外国人選手の来日が未定となっていることもあり、このまま結果を出し続けていけば、夢の開幕1軍がグッと近づいてくる。

上杉純也

デイリー新潮取材班編集

2021年2月28日掲載

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