新たな改革が次々と…巨人、「球界の盟主」奪還作戦の“本気度”
昨シーズンセ・リーグ連覇を達成したが、日本シリーズでは、パ・リーグ王者、ソフトバンクにねじ伏せられ、2年連続4連敗という屈辱を味わった巨人。日本シリーズ制覇は2012年以来遠ざかり、「球界の盟主」は、過去10年間で7度の日本一に輝くソフトバンクに明け渡したといえるだろう。
そんな巨人だが、ここへ来て、これまでと違う取り組みが見られている。オフには梶谷隆幸、井納翔一がFAで加入し、さらにメジャーで実績があるジャスティン・スモークとエリック・テームズといった強打者を獲得するなど、活発な動きを見せた。ただ、これはお家芸とも言える“大型補強”の範疇に入るもの。それ以上に目立つのが“目先の戦力以外の整備”である。
「投手チーフコーチ補佐」
まず、象徴的な出来事が桑田真澄氏の招聘だ。原辰徳監督がオーナーに直談判をして決まったと言われているが、発表されたのはキャンプインまで3週間を切った1月12日。既にコーチングスタッフは、昨年12月中に固まっており、「投手チーフコーチ補佐」という新たなポジションを作ったところにも、原監督および球団の並々ならぬ強い意志を感じる。
桑田氏は現役時代から“理論派”として知られていた。引退後の10年間を勉強の期間と位置づけて、早稲田大学大学院や東京大学大学院で研究に取り組み、その知識はさらにアップデートされている。巨人の投手陣は、エースの菅野智之以外、実績が乏しい投手が多いだけに、「若手の底上げ」という意味で大きなプラスとなる可能性が高い。
選手の育成では、桑田氏の招聘以外にも新たな施策に着手した。今年1月、ボディビルの日本選手権で9連覇を達成した鈴木雅氏をスタッフとして招聘した。いまだに日本の指導者の中には、野球の動きや走り込みで体作りを行うことが基本で、ウエイトトレーニングに否定的な意見を持つ人も少なくない。
しかしながら、プレーに上手く繋がる体の使い方ができるのであれば、筋肉量を増やした方がパフォーマンスを向上させる、これは現代トレーニングの常識となっている。ソフトバンクは、2010年からボディビルのスペシャリスト、高西文利氏を球団スタッフに採用して、選手の体作りを見直している。もちろん、フィジカル面だけを強化すれば、すぐに結果が出るという単純なものではないが、この取り組みもソフトバンクに追いつき追い越そうとする、巨人が示した“意欲の表れ”といえそうだ。
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