スマホで“テレビ番組並みの動画”を撮る3つのポイント 現役プロデューサーが解説

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(2)カメラを動かすのではなく自分が動く

 素人の方が一番やってしまいがちな失敗のひとつが「映像が安定しないこと」です。あなたは「お父さんが運動会で撮影した動画」を見させられたことはありませんか?カメラについているズームボタンを使いまくって、ズームインやズームアウトをガンガン繰り返していて、気持ち悪くなりそうな動画(「動画酔い」というやつですね)を撮影しているお父さんお母さんが多いと思います。

 スマホに限らず、カメラのズームボタンでズームインやズームアウトをすると、画面がガクガクになってしまって失敗することが多いです。なのでズームは原則使わないのがコツです。

 もし何かを大きく撮影したい時は、ズームインするのではなく、自分が前に動いて撮影対象に近づきましょう。「カメラを動かすのではなく自分が動く」のを心がけた方が絶対キレイに動画が撮影できます(もちろん自分が動いたら危険な時には、ズームしてください)。

 これはズームだけではなくて、横のものを撮りたい時にも同じです。カメラだけを横に向けるのではなくて、必ず自分の体ごと横に向けてください。カメラを持っている手だけを動かすと、画面がグラグラします。とにかく動画を撮る時には、「RECボタンを押したら、もう一度 RECボタンを押して止めるまでカメラをできるだけ操作せずに、自分が動く」というのが、良い動画を撮影するための絶対的なポイントです。

 あと、それにひとつ付け加えると、RECボタンを押して撮影を止める時には、心の中で3つくらい数えてからにしてください。撮影に慣れていない人は、つい早めに撮影をストップしてしまいがちです。そうすると後で編集する時に「動画が少し短すぎる」ということで頭を抱えてしまいます。

(3)まずテスト動画を撮って確認する

 私の経験から言うと、ほとんどの動画撮影の失敗は「音声収録の失敗」と「光の失敗」です。音声がうまく撮れていなかったり、逆光になってしまっていたり、画面が青っぽくなっていたり赤っぽくなっていたり、明るすぎていたり暗すぎたりという失敗はあとでいくら悔やんでも取り返しがつかないことも多いです。

 そうした失敗を防ぐにはどうすればいいか?というと、まずは音声であればイヤホンで収録音声を確認しながら撮影するべきなのですし、ちゃんとファインダーを見て映像を確認しながら撮影することが大切ですが、スマホには実は大きな問題があります。

 まず、スマホはイヤホンで収録音声を確認しながら撮影できない機種が多いと思います。さらに、特に屋外での撮影ではスマホの画面は反射などで見づらい場合も多いので、映像もきちんと確認できない状況になりがちで、撮影後に再生してガッツリ「指がかり」しているのに気がついてしまったりします。

 では、こうした失敗を防ぐにはどうするか?というと、撮影を行う場所でまずは短い「テスト動画」を撮影してそれを確認するのをオススメします。ほんの数秒の短いもので構いませんから、RECしてそれを再生すれば音声の問題も映像のトラブルも気がつくことができますよね?ちょっとめんどくさいなあと思うかもしれませんが、その一手間が取り返しのつかない失敗を防ぐと思えば、やる価値はあるのです。

 さあ、いかがでしたでしょうか?この3つのポイントに気をつけるだけで、あなたがスマホで撮った動画は見違えるほどハイクオリティになったはずです。ぜひ、あなたが持っている「ハイスペックなビデオカメラ=スマホ」を使って、テレビクオリティの動画を撮影してみてくださいね。

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鎮目博道(しずめ・ひろみち)
1992年テレビ朝日入社。社会部記者として阪神淡路大震災やオウム真理教事件の取材を経験。「報道ステーション」や「スーパーモーニング」でディレクターやプロデューサーを経た後にABEMAのサービス立ち上げに参加。「ABEMAPrime」、「Wの悲喜劇」と言った人気番組の企画に携わる。2019年8月に独立し以後、フリーのプロデューサーとして番組制作に関わる一方でライターとしても活動。「デイリー新潮」では「蛭子さんが語る 認知症との闘い」などを執筆。「夕刊フジ」、「東洋経済オンライン」ではテレビに関する連載を担当。上智大学文学部新聞学科非常勤講師。

デイリー新潮取材班編集

2021年2月27日掲載

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