オタクの街から風俗街に変わりつつある「秋葉原」 昨年末に起きた“大事件”で騒然
秋葉原消滅!?
こうしてトレーディングカードやフィギュアといったコアなマニア層に支えられた小店舗が閉店に追い込まれ、そこに風俗店が取って替わる──冒頭でご紹介した光景が展開されたというわけだ。
「もちろん、正確な店舗数がデータとして記録されているわけではありません。あくまでも私の皮膚感覚ですが、10年前と比べると、今の風俗店の店舗数は、少なくとも2~3倍以上に増えているのではないでしょうか」(同・河嶌氏)
今後も秋葉原では風俗店が増え、ガラの悪い街になっていくのだろうか。だが、意外にそうならない可能性もあるという。
「注目すべきは警視庁の動きです。JR秋葉原駅の周辺は『外神田・神田佐久間町』という地名で、千代田区です。こんな都心に風俗街が広がっているのですから、警視庁としては看過できないでしょう。これまでに何度も摘発が行われていますが、今後、大規模な浄化作戦が展開されてもおかしくなりません」(警視庁に詳しい記者)
風俗店が消えることを歓迎する人はいるだろう。だが、免税店も電気店もオタク向けのショップも存続が厳しい状況になっている。全ての店舗が消えてシャッター通りになってしまえば、“アキバ”らしさも雲散霧消してしまう。
秋葉原の“お手本”
実際、秋葉原が再開発されるごとに高層オフィスビルやタワーマンションに生まれ変わるという現象は20年以上続いている。アキバのオフィス街化も進んでいるのだ。
だが河嶌氏は「逆風が吹いているのは確かですが、そう簡単に秋葉原という“ブランド”は消滅しないと思います」と言う。
「既にオタク向けのショップをはじめ、『秋葉原に店を構える』ことが意味をなすようになってきています。アキバに店を構えるから純粋に儲かるという視点よりも、ここに店を構えることでオタク層に訴求するブランドを獲得できる。そんな意味合いのほうが強くなってきているのではないでしょうか」
秋葉原の今後を考える際、参考になるのは神田神保町の古本街だという。
「古本の世界もリアル書店よりネット書店の方が利便性は高いですが、やはり実物を手に取れる情報に勝るものはありません。この需要や実店舗の存在価値は電化製品やグッズにもあると考えています(同・河嶌氏)
秋葉原はゲームセンターの街としても知られている。特にクレーンゲームは機種が充実しており、日本トップクラスの品揃えだという。これを目当てに、わざわざ秋葉原に足を運ぶファンもいるという。
まだまだ秋葉原は“底力”を持っているのだろう。一方の神保町もコロナ禍に苦しんでいる。まずは新型コロナの感染拡大を止めることが先決のようだ。
註1:引用に際しては、全角数字を半角数字にするなど、デイリー新潮の表記法に合わせた。
註2:「【年の瀬記者ノート】繁華街に飲まれるな 摘発進むも最後は自戒」(産経新聞:15年12月27日東京朝刊)
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