オタクの街から風俗街に変わりつつある「秋葉原」 昨年末に起きた“大事件”で騒然
キッチンジローの衝撃
特に昨年末には、秋葉原の風俗街化を印象づける“エポックメイキング”な出来事があったという。
「東京に『キッチンジロー』というチェーンの洋食レストランがあります。秋葉原の『外神田店』は街の名物だったのですが、昨年9月末に閉店してしまったのです。かつての秋葉原は飲食店が少なく、お気に入りのショップを巡ってお腹が空くと、キッチンジローの外神田店に行くのが定番のコースでした」(同・河嶌氏)
閉店したキッチンジローの代わりに入居したのが、渋谷や歌舞伎町、池袋などの風俗街で散見される「無料相談所」だった。これが波紋を呼んだのだ。こちらも公道上から写真を撮影した。記事冒頭の写真がそれだ。
「30代の私も驚きましたが、秋葉原が“オタクの街”と呼ばれる前、電気街やパソコン街だった頃の記憶を持つ方々にとっては相当な衝撃だったようです。あっという間にSNSで拡散し、アキバの“風俗街化”を象徴する事件だったと思います」(同・河嶌氏)
河嶌氏は「秋葉原の風俗街化」の原因として、「オタクがネット通販をフル活用することになったため」と指摘する。
「秋葉原は戦後の闇市から始まり、一般大衆にとっては一貫して“家電の街”でした。更に時代ごとに『鉱石ラジオの部品を買った街』、『半導体やコンデンサーが売られていた街』というオタク心をくすぐる要素が常にありました」
メイドカフェの時代
90年代の秋葉原は電脳街=パソコン関連の商品が集積する街だった。ところがウィンドウズ95の大ヒットにより、パソコンはオタクが所有するものではなく、会社員が普通に使うものになった。
「2000年代になると、『電車男』の大ヒットなどもあり、秋葉原はアニメの街として脚光を浴びるようになります。マスコミは美少女アニメやゲームを面白おかしく取り上げ、その頂点に君臨したのがメイドカフェでした。その裏で00年代後半になると、ネット通販でもパソコン本体や関連部品が安く購入できるようになって、秋葉原で電気街の要素が減少していきます。」(同・河嶌氏)
そして2010年頃から、秋葉原では水面下で風俗街化が進んでいったという。背景にあるのがネット通販の伸長だ。
「パソコン用部品だけでなく、マンガやアニメ、ゲームといった分野で、オタクのコレクターズアイテムも、10年代からネット通販で幅広く手に入るようになったのです。特に近年では『メルカリ』をはじめとするフリマサイトの隆盛も大きいです。これで以前のように1つの商品を求めて何店舗も巡る必要がなくなりました。コレクターズアイテムなどはネットを通じた個人間取引のほうが安上がりな場合が大半なので、アキバのグッズショップが苦境に立たされている一因ではありますね」(同・河嶌氏)
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