韓国から“脱出”する「企業」が続出、その背景にあるものとは?
尹美香国会議員が抗議
ブルームバーグが2月19日、米シティバンクが韓国からの撤退を検討していると報じた。昨年来、同じように撤退などを表明する企業が続出している。その背景にあるものとは?
シティバンクグループは1967年、韓国に進出し、2004年にハンミ(韓美)銀行を買収して個人金融に参入。2016年には韓国全土で133店舗を構えたが、現在は39店舗となっている。
時期は少しさかのぼるが、2020年7月、自動車部品用ベルトを製造していた韓国ゲイツの廃業が報じられた。
韓国ゲイツは1989年に米国ゲイツ社が51%、日本のニッタが49%を出資して設立した合弁企業で、同社の従業員147人と協力会社の従業員とその家族6000人余りが影響を受けた。
廃業が報じられると、大邱市の権泳臻(クォン・ヨンジン)市長が「撤退決定を考え直してほしい」とゲイツの米国本社に要請。労働組合は工場の前で廃業撤回を求めるデモを行い、一部は政府による撤退回避を求めて青瓦台(韓国大統領府)前で座り込みを行った。
一方、ゲイツ社は生産拠点を中国に移して人件費を削減し、その中国で生産した製品を現代自動車に納入するという。
ゲイツの廃業が報じられたのと同じ昨年7月、埼玉県のサンケン電気は、LED灯具の製造・販売を手掛ける韓国サンケンを解散すると発表した。
韓国サンケンは、サンケン電気が1973年に設立した100%子会社だ。
業績不振が長期に亘り、2021年1月をもって廃業すると決定したが、韓国労組最大規模の全国民主労働組合総連盟(民主労総)や与党・民主党の国会議員を巻き込み、ゲイツの事例を超える騒動に発展した。
同年12月、元慰安婦支援金の不正流用疑惑の渦中にいる正義記憶連帯(正義連)前理事長の尹美香国会議員が中心となって、韓国国会の与党議員13名が、日本のサンケン電気本社と厚生労働省、経済産業省に「韓国サンケンの廃業中止と韓国人労働者保護」を求める書簡を郵送している。
日本製品不買運動
議員らは書簡のなかで、馬山輸出自由地域に韓国サンケンを設立して、地域経済の活性化と雇用創出に努力したサンケン電気に謝意を表したが、一方、サンケン電気が1996年以降、韓国サンケンの労働者を追い込み、2007年から12年まで3回にわたってリストラを強行して労働者の権利を抑圧したと主張した。
議員らはまた、「47年間、韓国政府から各種税制恩恵を受けたサンケン電気株式会社の共存の道に背く行為は日本の国際的威信を落とし、日本企業に対する否定的イメージを拡散させる」とし、「資本主義の負の部分をもたらす代表企業という汚名をきせられることになる」と指摘した。
「韓国サンケン労働組合」は1989年の結成で、95年12月に民主労総に加盟、2001年に全国金属労働組合に加入。
会社が07年~08年に3事業部を撤収すると、組合は人員再配置や希望退職などのリストラに反対し、09年には整理解雇反対と解雇者の復職を要求した。
一方、会社側は500人~600人だった従業員を266人に削減。
2016年、サンケン電気が生産部署を廃止し、生産現場の労働者全員の整理解雇を決定すると「韓国サンケン労働組合」は代表団を日本に派遣、6か月以上に亘ってサンケン電気本社前で“日本遠征闘争”を行った。
そういった労使間の長年の対立に乗じ、尹美香議員らは日本バッシングを展開していると見えなくもない。
日本企業が韓国から撤退する要因の一つは長引く不況だが、引導を渡したのは文在寅政権と与党・共に民主党、尹美香議員が率いる正義連が主導する「日本製品不買運動」である。
アパレル大手のワールドは、2001年に100%出資して設立した韓国子会社の全株式を19年に韓国企業に売却しているし、14年に韓国に進出した同じくアパレルのアダストリアは全店舗の営業を終了し、3月に清算終了予定だ。
生チョコレートのロイズ、オンワード樫山やオリンパスのカメラ事業、そして日産も不買運動を契機に撤退。DHCは不買のターゲットとなり、2012年に進出したモスバーガーも店舗を縮小するなど撤退の可能性が浮上している。
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