「ヤクザとみかじめ料」、「時短要請と闇営業」から考える緊急事態宣言下の「夜の街」

国内 社会

  • ブックマーク

バブルのころは

 自民党衆院議員の松本純が、緊急事態宣言中の今年1月18日夜、東京都中央区のイタリアンレストランを訪れ、その後はタクシーで銀座に移動。2軒のクラブを渡り歩き深夜までハシゴ酒を楽しんでいたことが報じられた。

 当初は「(店からの)陳情を承るという立場で、1人で」と説明していたが、後になって田野瀬太道、大塚高司の2人の後輩議員、女性も同席していたことが判明。

 3人は2月1日に自民党を離党し、公明党議員の遠山清彦も同様に銀座のクラブ訪問が発覚、議員辞職した。

 松本らが厳しい非難を浴びたにもかかわらず、自民党衆院議員の白須賀貴樹が2月10日夜、東京・麻布の高級ラウンジで女性と飲酒していたことが報じられた。

 白須賀は2月17日、「売り上げに苦しんでいる飲食店の方々もいる。知り合いの店だということで、売り上げに貢献したいと思った」と釈明して謝罪、同日に離党している。

 東京を中心に活動している、夜の繁華街事情に詳しい指定暴力団幹部がこんな風に語る。

「“売り上げに苦しんでいる”という議員の言葉をそのまま鵜呑みにはできないが、我々ヤクザのシノギも相当苦しくなってきている。夜の街のクラブや飲食店などからのみかじめ料については、そもそもコロナの問題が出てくる前から暴力団排除条例などの影響があり、非常に厳しい。そのうえ、コロナ禍で飲食店自体が営業していないとか、営業していても時短営業で経営は苦しく、みかじめ料どころではない。闇営業しているようなクラブやキャバクラなどは別だが……。結局、シャブ(覚醒剤)や振り込め詐欺などで何とかやって行くしかないところが多いのではないか。そういった犯罪はどこの組織も上の方から『厳禁』などと通達されているが、下の方は食っていくためにやらざるを得ないだろう。見通しは明るくない。バブルのころは地上げがメインで、月に数千万円のシノギは当たり前のことだったんだけどね」

(敬称略)

尾島正洋
1966年生まれ。埼玉県出身。早稲田大学政経学部卒。1992年、産経新聞社入社。警察庁記者クラブ、警視庁キャップ、神奈川県警キャップ、司法記者クラブ、国税庁記者クラブなどを担当し、主に社会部で事件の取材を続けてきた。2019年3月末に退社し、フリーに。著書に『総会屋とバブル』(文春新書)。

デイリー新潮取材班編集

2021年2月26日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。