宮野真守、花澤香菜……気がつけば“人気声優”がテレビドラマに続々出演するワケ
お笑い芸人の歴史
では、どんな“異業種”からスカウトされたケースが多いのだろうか。例えば渡辺文雄(1929~2004)は電通のサラリーマンから役者に転じた変わり種だ。映画やテレビドラマで名演を披露したが、こんな例は稀だろう。
やはり演技と愛称がいいのはお笑い芸人とミュージシャンのようだ。
「芸人出身の名優となると、それこそ枚挙に遑がありません。渥美清さん(1928~1996)、伊東四朗さん(83)、ビートたけしさん(74)とキリがないでしょう。
この傾向は今でも続いており、例えば『ボス恋』でもミキの亜生さん(32)と、なだぎ武さん(50)が出演しています」(同・関係者)
そして、もう1つの流れがミュージシャンだ。
「最近ではNHKの朝ドラ『スカーレット』(2019年)で松下洸平さん(33)がブレイクし、続く『エール』(20年)では森山直太朗さん(44)や野田洋次郎さん(35)の出演が話題になりました」(同・関係者)
だが、抜擢された芸人やミュージシャンが演技の才を示すと、オファーが殺到してしまう。新鮮さを求めての起用だったにもかかわらず、いつしか顔ぶれも固定化される。
「今の芸人さんなら原田泰造さん(50)、塚地武雅さん(49)、星田英利さん(49)、児嶋一哉さん(48)、今野浩喜さん(42)、といった感じでしょう。
ミュージシャンなら先の松下洸平さんや野田洋次郎さんの他に、人気者の星野源さん(40)がいます。あと脇役で引っ張りだこなのが、金子ノブアキさん(39)ですね」(同)
ギャラの問題
お笑い芸人やミュージシャンばかりではつまらない。テレビドラマにキャスティングできる“異業種”のスターはいないか──こうして血眼になって探しているドラマ制作者が注目したのが声優というわけだ。
「人気のある声優さんは、ファンの数が芸人さんやミュージシャンを凌駕することも珍しくありませんので視聴率が期待できます。
更に声優になるためには演技の基礎を勉強する必要がありますし、吹き替えで実際に演じています。ある意味、芸人さんやミュージシャンより俳優の仕事に向いているわけです。
そしてもう1つ、現在の厳しいテレビ業界にとっては重要なことですが、俳優さんより声優さんのほうがギャラは安いのです」(同)
売れっ子の声優でも、テレビドラマでは“新人”という扱いになる。安いギャラを要求しても非常識ではないということになる。
一方の事務所側も、声優が更なるステップアップを成し遂げるためにも、テレビドラマの出演はありがたい話だ。まさにWin-Winの関係なのだ。
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