DeNA、暗黒時代に再突入も…「ハマの番長」三浦大輔監督が握る“浮沈の鍵”
昨年と比べて大きく変化があった球団の一つがDeNAだ。5年間にわたり、チームの指揮を執ったラミレス監督が退任し、“ハマの番長”こと、三浦大輔新監督が就任した。
2003年から2年間監督を務めた山下大輔監督以来となる“生え抜き監督”に対する期待は大きいが、オフに主力が相次いで流出した。投手では、先発ローテーションの一角である井納翔一がFAで巨人に移籍したほか、昨季57試合に登板して、19ホールドをマークしたパットンも退団した。野手では、チームトップの140安打を放った梶谷隆幸がFAで巨人入りし、長年中軸を担ってきたロペスもチームを去っている。流出した主力の人数という意味では、12球団で最多と言えそうだ。ラミレス政権では、5年間で3度のAクラス入りと健闘してきたが、再び暗黒時代に戻ってしまうのか。現有戦力と補強の状況から探ってみた。
改めて、昨年の成績を振り返ってみよう。借金2と負け越してはいるが、得失点差は巨人に次ぐ+42という数字が示すように、戦力的には決して悪かったわけではない。チーム本塁打数は、巨人と並ぶリーグトップの135本を放つ攻撃力をみせ、ホームランが出やすい狭い横浜スタジアムを本拠地としながら、被本塁打数は阪神に次ぐ、セ・リーグで2番目に少ない98本に抑えている。また、抑えの山崎康晃が不振に陥りながらも、三嶋一輝が新クローザーとして奮闘。阪神に次ぐリーグ2位の救援防御率をマークしている。
「世代交代が早まった」
気になるのは、やはり抜けた選手の穴をどう埋めるかという点。結論から言えば、不安よりも期待が上回っていると感じている。まず、戦力面で最大のマイナスは、140安打、19本塁打、14盗塁をマークした梶谷となるが、オースティンのコンディション次第で、かなりの部分を埋められる可能性は高い。
また外野には、昨年イースタン・リーグで本塁打、打点の二冠に輝いた細川成也、ルーキーながら高いポテンシャルを見せた蝦名達夫が控えている。彼らが4番に定着した佐野恵太のように、一気にブレイクすることも十分考えられるだろう。過去の梶谷のプレーぶりと今年で33歳という年齢を考えると、ここから成績が下降する可能性が高く、「世代交代が早まった」とプラスにとらえることはできそうだ。
チームを去ったロペスについても、年齢的に上積みは考えづらく、ソトを守備の負担が少ないファーストに回すことで、成績アップが期待できる。また、佐野の“二年目のジンクス”は不安要素ではあるが、長打力のあるオースティンとソトが残り、実績十分の宮崎敏郎もまだまだ余力を感じるだけに、打線については十分戦えるメンバーが揃っているといえよう。
しかし、投手陣は全体的に課題が目立つ。過去に二桁勝利をマークした実績を持つ投手は、今永昇太をはじめ、東克樹、浜口遥大、大貫晋一がいるものの、今永と東は、手術明けで大きな期待はかけづらい状況だ。
新外国人として、若手の有望株であるフェルナンド・ロメロを新たに獲得したものの、昨季はマリファナ所持の入国トラブルを起こして全く登板していない。退団したパットンは、過去2年間の防御率は5点前後と安定感に欠けていたとはいえ、在籍4年間で平均50試合以上に登板して25ホールド以上をマークしていた。彼が抜けたことで、ブルペン陣に大きな穴が空いたのは事実だ。
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