免疫力向上「ミツバチ」関連商品の最新研究 “腸のアンチエイジング”効果が科学的に明らかに

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 コロナ禍で免疫力の大切さに目が向けられ、健康食品が売れているらしい。ひところは発酵食品が話題にのぼり、納豆が品薄になったりもした。やはり自然由来の、普段馴染みのあるものに人々は安心感を抱くようだが、意外にウケに入っているのがミツバチ産品。

昨年、最初の緊急事態宣言が出された際、あるサプリ販売大手ではプロポリスの売り上げが前年同期比で8割も増加した」(業界関係者)

 プロポリスとはミツバチが巣を守るために作り出す物質で、関連商品は複数社から販売されているし、他に「マヌカハニー」と呼ばれるハチミツも目にする機会が増えた。こちらはビタミンやミネラル等を多く含み、栄養価が高いと評判だ。

 昔からローヤルゼリーは健康にいいとされてきたが、その効果は科学的に解き明かされつつあるという。

「人の免疫細胞の約7割は腸に存在し、腸の免疫力、いわゆる腸管免疫を高めることが健康維持につながるとされ、ローヤルゼリーが有効だとわかってきたのです」

 こう語るのは、熊本大学大学院生命科学研究部の三隅将吾教授。

「免疫研究の結果、腸内の“M細胞”の役割の重要性が明らかになりました。腸内環境を監視するM細胞は、ウイルスや細菌等の外敵が入ってくるとこれを取り込み、本家の“免疫細胞”に攻撃してもらうのです。こうして人の体は外敵の増殖を防いでいます」

 免疫力アップのカギはM細胞にあり、ということのようだが、三隅教授いわく、

「若いうちはM細胞も腸内環境に応じて、次々に新しく生まれ変わるのですが、歳をとるとそのサイクルが衰える。それを改善する可能性を秘めている成分が、ローヤルゼリーの中にありました。全体の1%にも満たない希少な含有成分『10-ヒドロキシデカン酸』がそれです」

 一般的には略してデカン酸と呼ばれるこの成分、摂取すれば若い時と同じように腸内環境を整えられる可能性が高まるというわけ。腸の“アンチエイジング”サポーターと言えようか。

 ココナツオイルやバターに含まれるデカン酸は微妙に化学式が異なっており、腸管免疫力の向上に効果があるのはローヤルゼリー由来の「10-ヒドロキシデカン酸」だけらしい。

 最近は、このデカン酸を多く含んだローヤルゼリーも商品化されている。人々が巣ごもりを強いられる昨今、巣作りの神秘と数々の叡知で知られるミツバチが、今また人間の健康に役立とうとは。いやはや、彼らの力はどこまでも侮れない。

週刊新潮 2021年2月18日号掲載

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