橋本聖子“新会長”に永田町で「気の毒だ」の声多数 最初から最後まで人材難の裏

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2、3年で交代

 御手洗氏は森前会長に、トヨタ自動車の社長を務めた張富士夫氏(84)を推薦した。

「張さんのところに行くと、『自分は体調がすぐれないし、名古屋に家があって、妻も息子もいる。東京での生活は難しい』と断られた。そこで森さんは今の社長である豊田章男さん(64)に狙いを定めるのですが、父親の豊田章一郎さん(95)に『息子はまだ若い。勘弁して下さい』と、これも断られてしまいます」(同・参加者)

 すると今度は、御手洗氏と張氏の2人が森前会長のもとを訪ね、「どうだ、森さん、あんたやったらどうか」と口説いてきたという。

「講演で森さんは、当時の安倍首相からも依頼の電話があったことを明かし、『もう引き受けるしかないんじゃないか』と決断したと言っていました。ただ当時で76歳だったそうで、2、3年はしっかりやって、途中で別の人にお願いすればいい、とも思っていたとのことでした」(同・参加者)

五輪は絶対開催!?

 当時、森前会長が思い描いていた“後継者”は、今回の辞任騒動で最初に打診した川淵三郎氏(84)ではなかった。前出の政治担当記者が言う。

「森さんが後を託したかったのは、実は安倍さんでした。森さんでさえ、安倍さんがあれほどの長期政権を樹立するとは考えていなかったんですね。それが誤算で、会長職を“禅譲”する機会を失ってしまった。そして今の安倍さんは“キングメーカー”として政界に影響力を行使することが最大の目標ですから、“火中の栗を拾う”のはリスクが高すぎるのです」

 火中の栗など拾うつもりはない──そんなことを考えていた安倍前首相が、橋本新会長のことを《火中の栗を拾ってもらうことになった》と述べたのだ。まさか、思わず本音が出たわけではなかろうが……。

「菅首相は、とにかく何が何でも東京五輪を開催するつもりです。まずはワクチンをできるだけ多くの国民に打ち、無観客でも五輪を行い、秋に総選挙をやるつもりでしょう。もし五輪が中止や延期になると、菅さんのコロナ感染対策が不徹底だからだと非難され、選挙で惨敗するかもしれない。それは絶対に避けたいところです」(同・記者)

 そんな菅首相の“代理人”として、橋本新会長は選出されたということだろう。同情論が出るのも当然ではないか。

デイリー新潮取材班

2021年2月19日掲載

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