甲子園3回出場の「松山聖陵」、野球部監督が部員にコンクリの上で「顔面ヘッスラ」体罰

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試合中でも激昂

 たとえ衆人環視の中でも、荷川取監督が顔面ヘッドスライディングを命じたこともあった。昨年8月に行われた試合でのことだ。

「試合中、選手が監督の指示を間違えてしまいました。そのイニングが終わると、試合相手の選手や監督がいるにもかかわらず、荷川取監督はベンチに戻ってくる選手に罵声を浴びせ続けました。更にベンチの中で、選手に顔面ヘッドスライディングを命じたのです。もちろん下はコンクリートです。選手は半ば反射的に体を動かしました。顔の傷より、肩を硬いコンクリにぶつけたことのほうがダメージは大きかったそうです」(関係者)

 相手チームの選手も監督も見ている前で、顔面ヘッドスライディングを命令したわけだ。こうした荷川取監督の姿勢が、2年生を精神的に追い詰めたのは間違いない。

 だが、荷川取監督も高校側も、今回の事案を真剣に反省しているのか、疑わしいと思う保護者も存在するという。

「昨年10月に開かれた保護者向けの説明会で、校長は荷川取監督の責任問題を問うどころか、引き続き野球部の指導を続けさせると明言しました。そもそも高野連の処分が10月に発表されてからも、ちょくちょくグラウンドには顔を出し、監督代行に指示をしたり、部員に直接指導したりしていました。ところが、なぜか11月末から、ぴたりと監督は来なくなりました」(関係者)

今後の指導方針は?

 保護者の中には、高野連などに「不適切な指導は他にも証言がある」とし、荷川取監督に更なる処分を求めている者も、ごく僅かではあるが存在する。

 高野連や、その上部機構である日本学生野球協会の判断が注目されるが、現状のままであれば、荷川取監督は4月に指導を再開する予定だ。

 今後どのような姿勢で部員に接するのか、愛媛県というより、全国の高校野球関係者が注目することになるだろう。

註1:引用は全角数字を半角に改めるなど、デイリー新潮の表記法に合わせた。

註2:朝日新聞・西部版・1999年4月5日夕刊「沖縄に優勝旗渡る 選抜高校野球(報!)」より

デイリー新潮取材班

2021年2月19日掲載

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