従軍慰安婦は「売春婦」か「性奴隷」か ハーバード大・知日派の論文に韓国関連の組織が噛みつく

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《帝国の慰安婦》との類似性

 今回のラムザイヤー教授の論文は、「慰安所経営者」と「慰安婦」間の独特な契約形態及び契約条件について、ゲーム理論における「信頼できる誓約」によって解説したものだ。

 働く側は危険かつ過酷な売春に従事する期間をできるだけ短くし、十分な報酬を得たい。雇う側はそれに応えるべく、前もって売春婦に大金を貸し付ける。

 積極的に仕事に取り組むことで返済が進み、結果として仕事を短期間で済ますことができるし、貸し付けた大金を早期に回収可能となる。両者の利害が一致する「信頼できる誓約」というわけだ。

 慰安婦が性奴隷ならつじつまが合わない点を、この理論はわかりやすく説明してくれる。

 今回のラムザイヤー教授の件は、朴裕河世宗大教授の《帝国の慰安婦》の事案とよく似ている。

 よく知られているように、2015年11月、朴裕河教授は著書『帝国の慰安婦』で「慰安婦の自発性」について言及し、被害者に対する名誉毀損の疑いで起訴された。

 一審は「学問の自由には、出版の方法として学問的研究の結果を発表する自由も含まれている」とし、無罪を言い渡したが、2017年10月の控訴審では、「歪曲された事実を指摘し、被害者の評価に大きな傷をつけた」として、有罪(罰金1000万ウォン)判決が下った。

 国際学会の専門家たちの間で論文の独創性を認められ、ひいては論争の対象になるだけの価値があると評価された事案について、なぜ学問とは関係のないところで、学問的討論そのものを封鎖しようとするのだろうか。

 国際学会ではこれまで慰安婦問題と関連し、「強制連行」があったかどうか、または「性奴隷」の概念が適切か否かという根本的な争点において、多様な論議が行われてきた。

『帝国の慰安婦』の一件からかなり時間が経過し、朴裕河教授の告訴、告発に挺対協などの慰安婦支援団体が深く関わっていることが明らかとなってもいる。

 そんな現在でも、韓国社会は依然として、歪曲された歴史認識の枠組みの中に閉じ込められている。

 前提とされるべきは、慰安婦問題に対していかなる聖域も作らないことである。

 従軍慰安婦の性奴隷説が、神聖不可侵の領域ではあるまい。

李東原(イ・ドンウォン)
日韓関係史が専門

デイリー新潮取材班編集

2021年2月18日掲載

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