従軍慰安婦は「売春婦」か「性奴隷」か ハーバード大・知日派の論文に韓国関連の組織が噛みつく

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互いの利益のための契約

 1月28日、〈産経新聞〉は、マーク・ラムザイヤー、ハーバード大学ロースクール教授が今年3月、国際学術誌「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス」に掲載予定の日本軍慰安婦関連論文について記事を掲載した。論文のタイトルは、「太平洋戦争における性契約」(同誌オンライン版は昨年12月に掲載)。そこで教授は、当時、日本軍慰安婦は公認された売春婦であり、日本に拉致されて売春を強要された「性奴隷」ではないと主張している。この機を捉え、かねて繰り返されてきた従軍慰安婦は売春婦なのか性奴隷なのかという議論について、日韓関係史が専門の李東原(イ・ドンウォン)氏が検証する。

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 まずは論文について、ざっと紹介しておこう。

・日本人であれ朝鮮人であれ、慰安婦は公認の売春婦であり、日本軍に拉致されるなどして売春を強要された「性奴隷」ではない。

・売春宿がうら若き女性をだまして売春宿に送り込むような事態はなかった。日本政府は、そうすることのリスクをはっきり理解していた。

・日本の内務省は、慰安婦募集業者に売春婦女性だけを雇用するよう要求しており、管轄警察も、慰安婦女性が自身の意思であることを直接確認し、契約が満了すれば、直ちに帰国するようにしていた。

・女性らは、危険の大きい戦場に向かうため、長くても2年程度の短期契約を要求し、募集業者は女性らにインセンティブを与えるなど、高い報酬を受けていた。

・要するに、慰安婦女性は日本軍と互いの利益のために契約を結んでいた。問題があるとすれば、日本政府ではなく女性を騙した募集業者にある。

 教授は、日本で幼少期の大半を過ごし、日本の学校に通い、アメリカに帰っても日本の歴史を専攻してきた、いわゆる「日本専門家」だ。

 ハーバード大学などで主に日本の歴史、法律、経済などを研究しながら一橋大学、東京大学、東北大学など、いろんな日本の大学でも講義をした経験があり、日本に関する様々な著述もある。

火が付いた論争

 そして、アメリカにおける日本社会および文化に対する理解・振興の功労が認められ、2018年11月、「旭日中綬章」を受章している。

 東京大学では奨学生として学び、ハーバード大学ロースクールのホームページにある教授の紹介欄には「Mitsubishi Professor of Japanese Legal Studies」と表記されるなど、日本側から様々な支援を受ける「親日派」「知日派」である。

 日本軍慰安婦について、「強制連行による性暴力」か「自発的な売春婦」かをめぐって、日本と韓国が鋭く対立してきたのは周知の通りだろう。

 名の通った「親日派」で、しかもハーバードというアメリカ随一の名門大学教授が、従軍慰安婦被害者を「売春婦(prostitute)」と規定した論文を学術誌に発表するというのだから、韓国社会や国際社会で「歴史的加害行為に関する日本の責任」を主張する学者や団体がこれを看過するはずがない。

 ハーバード大学ロースクールの韓国人留学生会(KISA)はラムザイヤー教授を糾弾する声明を出し、ハーバード大学の校内新聞「クリムゾン」が批判の記事を出した。

 同じハーバード大学で韓国史を教えるカーター・エッカート教授は、「経験的、歴史的、道徳的に悲惨なほど欠陥のある論文」と述べ、コネチカット大学のアレクシス・ダデン歴史学科教授は、「根拠資料が不十分で学問的証拠を考慮すると、間抜けな学術作品」と指摘した。

 また、韓国の、いわゆるサイバー外交使節団と名乗る「ヴァンク(Voluntary Agency Network of Korea)」は、編集人たちに論文を撤回するように要求する抗議メールを送った。

 約100人のヴァンク会員が直接書いた書簡と共に、ヴァンクが世界最大請願サイトに掲載した「撤回要求請願」に参加した各国約3700人の名簿も同封した。

 しかも、ハーバード大学ロースクール学長と総長にも論文撤回と大学レベルで糾弾を要求する抗議書簡を送付している。

 他方、学術誌の編集サイドは韓国メディアの取材に対し、論文をめぐる議論について調査中で、調査結果は追って知らせると明かした。

 加えて、論文が掲載予定だった学術誌3月号の印刷は現在、中断された状態で、その理由は、この論文に対する「遺憾の表現」(Expression of Concern)を別途掲載するためだという。

 2月16日には、慰安婦被害者の李容洙さんが会見し、「日本がハーバード大学の教授にウソをつかせている」と語った。この論争はしばらく続きそうな気配だ。

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