次なる「育成の星」は誰だ! 今季ブレイクが期待される5人の選手名

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岩村明憲を彷彿

 セ・リーグの投手で昨年開花の兆しを見せたのが藤井黎來(広島)だ。大曲工では2年夏に甲子園に出場し、17年の育成ドラフト2位で広島に入団。3年目の昨年は二軍でリリーフとして18試合に登板して防御率1.09という見事な成績を残し、9月に支配下登録を勝ち取った。ストレートは140キロ台中盤と驚くような速さはないがボールの角度があり、決め球のフォークも落差は十分。キャンプは二軍スタートとなったが、チームのリリーフ陣は苦しい状況だけに、ブルペンの一角に入ってくる可能性はありそうだ。

 野手で面白いのが松本友(ヤクルト)だ。明治学院大では首都リーグの二部所属ということもあってそれほど注目されるような選手ではなかったが、BCリーグの福井でプレーした2年間で力をつけて、18年の育成ドラフト2位でプロ入り。2年目の昨年は二軍でチームトップとなる66安打を放ち、7月に支配下登録されると、シーズン終盤には一軍で初ヒットもマークしている。下半身の強さを感じるスイングは、かつてヤクルトで活躍した岩村明憲を彷彿とさせるものがあり、たくましい体格だが脚力も備えている。内野手登録だが外野にもチャレンジしており、複数ポジションを守れるのも持ち味だ。残念ながら、雨で中止となったが、2月11日と14日の練習試合では4番に起用することを首脳が明言するなど、首脳陣の期待も高い。新型コロナウイルスの影響で新外国人の来日が遅れている間にアピールを続けていけば、開幕一軍も見えてくるだろう。

 ソフトバンク、巨人が代表的だが、育成ドラフト出身の選手が一軍に定着するとチームに不思議と勢いが出てくることは間違いない。今回紹介した以外にも新たな“育成の星”が続々と登場し、球界全体を活性化させてくれることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年2月17日掲載

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