英国・豪州が誘う日本のファイブ・アイズ加盟 高まる中国に対する不満が背景に

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中国への関心の高まり

 日本のファイブ・アイズ加盟については、英国とともに豪州も秋波を送っている。豪州のモリソン首相は、コロナ禍にもかかわらず昨年11月に来日し、菅首相との間で安全保障・防衛協力や経済の分野で協力関係を強化する日豪首脳共同声明に署名した。豪州は5G移動通信ネットワークから中国のファーウェイを排除し、新型コロナウイルス感染症についての「中国責任論」を掲げるなど米国に同調したことから、中国から容赦なく報復を受け、経済は戦後最大の危機を迎えている。豪州でも傍若無人な中国に対する不満が高まっているのは英国と同様であろう。

 これに加え、ファイブ・アイズ全体の関心が中国という国そのものに集まりつつあるという事情もある。日本は地政学的に中国を封じ込める上で重要な場所に位置し、また、シーパワーの国である。情報収集・分析の分野でもハイテク化が急速に進んでいることから、依然として高い技術水準を有する日本へのアプローチは当然の帰結かもしれない。

 ファイブ・アイズへの日本の正式加盟は、様々な法的・制度的措置が必要であることからけっして容易ではないとされているが、英国のファイブ・アイズのリエゾンである政府通信本部のフレミング長官は、昨年、「ファイブ・アイズはパートナーシップであり、同盟である」と組織の多様性について発言している。日本はこれまでと同様に実務的な協力を一つずつ積み上げていけばよいのである。

 米国では中国を「最も重大な競争相手」とするバイデン新政権が誕生した。日本が米国とともに世界秩序の安定に貢献するためには自民党の新国際秩序創造戦略本部(甘利明座長)が昨年12月に提言をまとめたように、経済安全保障に関する取り組みも併せて強化すべきではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮取材班編集

2021年2月16日掲載

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