韓国で劇場版「鬼滅の刃」大ブーム、「耳飾り旭日旗問題」は一蹴、首都圏と地方で格差も

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「他者の視線」

 韓国映画振興委員会が発表した韓国映画ボックスオフィスランキングによると、2月8日現在の累計観客数は、ソウル特別市と近郊の京畿道は11万人を超えているが、他の地域は1~2万人にとどまっている。

 韓国第2の都市である釜山広域市でさえ約3万人で、地方都市・蔚山市で鑑賞した人によると、150席ほどの劇場で観客は10人以下、ほぼ貸し切り状態だったという。

「鬼滅」ファンの多くは、IMAXや4DXなど高画質スクリーンでの鑑賞を望むが、地方都市だとそのようなスクリーンを有する劇場は多くない。

 高画質スクリーンで鑑賞するため、都市部の劇場に出かけたファンが多く、地方都市の観客数の伸び悩みにつながっていることはあるだろう。

 その一方で、アニメ映画鑑賞に対する「他者の視線」を気にする人も少なくない。

 有料動画配信サービスWATCHAでアニメ版「鬼滅の刃」を全話鑑賞したという30代の韓国人男性は、劇場版「鬼滅の刃」をまだ鑑賞できずにいる。

 ある地方都市在住のこの男性によると、

「韓国ではアニメ映画を劇場で鑑賞すると、『オタク』とみなされることがあり、周りの視線が気になる。ソウルだとそこまで気にすることもないのでしょうが……。この後にWATCHAなどの動画配信サービスで配信されるのを待って、自宅で鑑賞することにするか地元で見るか否かで迷っています」と明かす。

 加えて、2019年に始まった日本製品不買運動はだいぶ落ち着いてきたとはいえ、未だに周囲の視線を気にして劇場に足を運べないという声も少なからず上がっている。この傾向もまた、首都圏より地方に顕著のようだ。

 実際の劇場での観客数には表れない、「視聴者予備軍」が相当数いることが推察される。

大岡真帆
1979年生まれ。2009年に渡韓。日系企業などでの勤務を経て、現在はフリーランスで活動中。

デイリー新潮取材班

2021年2月15日掲載

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