今は買いか売りか? 昨秋、すでに「史上最高値」を達成していた「コロナ相場」の“実態”

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「平成バブル」と「コロナ株高」の違い

 では、この実態を踏まえた上で、この先の推移について考察してみよう。

 かつて平成バブルを作り出した背景には、銀行が競って過剰融資を行い、ダブついた資金が不動産市場や株式市場に流れ込んだ現象があった。その結果、不動産株、証券株、銀行株、ノンバンク株のような非製造業セクターの株価がことさら上昇した。

 だが、上記した日経500種平均の中で買われている成長企業は、平成バブル期の株式市場の主役ではない。「製造業」、「IT」、「小売り」にカテゴライズされる企業で、金が金を生む世の中でクローズアップされる類とはまったく違う。むしろ、平成バブルの主役となった不動産株などの銘柄は、今のコロナ相場において出遅れており、投資家たちはオーソドックスに「より成長性のある銘柄」にシフトし、さらに買い進んでいる。

 もちろん株価には投資家が売買を繰り返すことによる振幅がある。1日も休むことなく上昇することはないが、短期間売られた銘柄がまた買い直され、元の株価を取り戻し、さらに高値に進む状況が月単位で継続している現在の状況を踏まえると、投資家がさらに資金を投入してくる可能性は高い。

コロナ相場では“カラ売り勢”がことごとく敗退

 投資家には様々な投資スタイルがあり、株価上昇の流れに乗りさらに資金を投入するトレンドフォロー型の投資家がいる半面で、株価上昇を限定的と考え高値圏でカラ売り(株価が下がると儲かる取引)を行う投資家もいる。前者はさらなる株価上昇を見込み、後者は株価の頭打ち反落を見込んでいるわけだが、コロナ安後の東京市場ではことごとく後者が負けてきた。一般投資家の中にも「日経平均インバース型ETF(日経平均が下がると価格が上がる上場投資信託)」を手掛ける人が多いが、結果は散々たるものだ。

 先月、米国市場では、手数料無料の投資アプリ「ロビンフッド」を経由して売買を行った若年個人投資家の買いの勢いに負けて、カラ売り専門ファンドが撤退による買い戻しを余儀なくされ、株価急伸につながったケースも話題となった。このような現象も、コロナ感染縮小に伴う景気回復を見込む投資家が多いことによって表れたと見ることができるだろう。

今は買いだ

 世間では、斜に構え慎重な見方をする者は「冷静な人」と評価され、現状をそのまま追認する者は「考察が甘い人」とされる傾向もあるが、こと株式市場においては結果を出した者(株価の流れに乗り儲けた者)が評価を受ける。コロナはこれまでの価値観を大きく変化させたが、株式市場でも同じだ。

 時代の先頭を走る成長企業の株価を見る限り、日本の株式市場は30年にわたる停滞から抜け出したように見える。この一群はかつてないほどの株価に到達しており、追随する企業(銘柄)も表れ始めている。ここからさらに数年後、株を買った人とそうでない人の差が大きく出ることになりそうだ。今は「株は買い」ということになる。

天海源一郎(てんかい・げんいちろう)
株式評論家。1968年、大阪市生まれ。関西大卒業後、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。東証記者クラブ記者、ディレクターなどを歴任し、2004年独立。「夕刊フジ」、「楽天証券トウシル」にコラム連載、メルマガ「天海のつぶやき」発行、講演など個人投資家啓蒙活動を続ける。著書多数。

デイリー新潮取材班編集

2021年2月15日掲載

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