帰ってきた「Endless SHOCK」、堂本光一の「本気」と「決意」
「-Eternal-」(永遠)の意味
KinKi Kidsの堂本光一としてだけではなく、帝国劇場の座長としても生き続けたこの20年間とその責任感が窺える発言である。
しかし、もちろん、安全が確保されない中で、闇雲にショーを続ければいいというわけではない。
すなわち、今回の舞台で表面上だけ「SHOW MUST GO ON!」が叫ばれてしまっては、堂本光一が熟慮のすえに、社会のために休演を選んだ現実との矛盾が生じてしまう。
そうして、「Endless SHOCK -Eternal-」では、「SHOW MUST GO ON!の本当の意味」としてこんなセリフが登場する。
「躓き、立ち止まっても新たに踏み出す勇気」
昨年1度立ち止まり、新たに歩き始めたカンパニーに、自ら言い聞かせるようなセリフである。
世界のために立ち止まらざるを得なかったSHOCKのカンパニーの思い。
そして、帝国劇場という歴史ある舞台で上演するカンパニーとしての演劇の灯りを消すまいという決意にも聞こえる。
人の命を奪うウイルスが蔓延する中で、昨年「エンターテインメントは人の命を救うぐらいに気持ちを豊かにさせたり、生きる力を与えたり、心を豊かにすることもあるんです」(*3)とも語っていた光一。
そんなエンターテインメントへの志に貫かれた「SHOW MUST GO ON!」は、さらに深く届いてくる気がした。
さらに、もうひとつこの「Endless SHOCK -Eternal-」に冠された「-Eternal-」(永遠)という言葉に注目したい。
「Endless SHOCK -Eternal-」は、主人公のコウイチが3年前に死んでいるという設定である。
だがもちろん堂本光一が出演しないわけではない。
亡きコウイチがステージ上で、生きている人々と共演しているように見える演出が施されている。
それぞれの想いが亡きコウイチをステージに呼んだ、と解釈ができるセリフも紡ぎ出される。
死者が生きる者に寄り添ってくれている――そう信じられる世界が舞台上に創造されているのだ。
上演1800回を迎えて
そしてそこにはやはり、この「SHOCK」の生みの親であるジャニー喜多川氏が亡くなっているという現実が重なる。
今回の「Endless SHOCK -Eternal-」や、先月まで堂本光一が演出を務めていた舞台「DREAM BOYS」など、ジャニー喜多川氏が生み出した舞台では、死後、氏の名前は「Eternal Producer(エターナル・プロデューサー)」としてクレジットされている。
堂本光一はジャニー喜多川氏が生きている頃から「舞台にしてもコンサートにしても、ジャニーさんに『いいね』と言ってもらえるものを作ろうとしている自分が、根底にはいます」(*4)と語り、死後も「僕が常に念頭においているのは、『ジャニーさんだったらどう考えるかな?』ということ」(*5)と、師への意識は永遠にも思える。
「Endless SHOCK -Eternal-」のタイトル、そして内容は、堂本光一からジャニー喜多川氏への「ずっと見てくれているよね」という願いのようにも見えるのである。
2月12日で上演1800回を迎えたSHOCK。
実はその間、中止になったのはこれが初めてではない。
2011年3月11日も昼の部の幕間に東日本大震災が発生し28公演が中止となった。
「悲惨な出来事なんてあるのが当たり前じゃない これだけの日を跨いで来たのだから」
と歌詞を書いたのは相方の堂本剛だが、光一とSHOCKもこの20年の日を跨ぐ中で、震災・感染症の拡大・そして恩師の死……と様々な“悲惨な出来事”に直面してきた。
そんな現実を経た上で叫ばれる「SHOW MUST GO ON!」は、より強い光を放つ言葉になっているはずだ。
(*1)『週刊プレイボーイ』2020年4月13日号
(*2)『日経エンタテインメント』2020年7月号
(*3)『週刊プレイボーイ』2020年3月30日号
(*4)『日経エンタテインメント』2016年4月号
(*5)『婦人公論』2020年2月10日号
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