「マツコデラックス」「満島ひかり」「田中みな実」「平井堅」が羽ばたいた「MXテレビ」秘話

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岩井志麻子との出会い

 岩井志麻子さんは「5時に夢中!」放送開始当初からの唯一のレギュラー出演者で、番組内最古参の方となります。

 岩井さんとは番組ではじめてお目にかかり、数ヶ月は私のことは「いち共演者」程度の捉え方だったと思われます。

 それがある日の夜、岩井さんのホームグラウンドである新宿歌舞伎町にて私が当時想いを寄せていた夜のお嬢さんの誕生日祝いの花束を買っていたところで遭遇しまして、どうも岩井さんの中で「こんな夜中に実らぬ恋に対して花束を買っている哀れな2世タレント」を憐むという思考回路が発動したらしく、その日からまさに意気投合と申しましょうか、現在に至る友好関係が始まったように思えます。

 そして中瀬ゆかりさんもマツコさんと同じく(体重ではなく)ゲスト出演をきっかけにその後レギュラーコメンテーターとして変わらず出演をなさっております。

 私にしましても大川貴史プロデューサーにしましても、目標の方であります。というのも、私は司会者(最近はまったくしておりません)、大川貴史さんはプロデューサー(現・制作局長)、共に周りの人々とのバランスに重きを置いて生きていかなければならない立場なので、この中瀬ゆかりさんのバランサーとしての存在感や気遣いそして所作は大変勉強になるわけです。

「誰の悪口も言わない」「その場の空気をよくする」

 そういったことに長けている崇高なお方です。

 これは簡単なようでなかなか難しいことであるというのは読者の皆様もおわかりと存じます。

 と、ここまで、「5時に夢中!」草創期からの思い出話を中心に記してきました。

 また、MXには「5時に夢中!」以外にも「電リク!BEAT BOX!」や「U・LA・LA」といった知る人ぞ知る番組が存在しました。

 前者の司会が平井堅さんで、後者の司会がシェリーさんであったりします。

「自らをさらけ出してテレビに出ること」

 かように、平井堅、マツコデラックス、ミッツ・マングローブ、シェリーという方々がMX出演をきっかけに大飛躍を遂げたことも興味深いところであります。

 さらに、基盤はあったけど少し迷走している時期に、レギュラー番組を持ちその後さらなる飛躍を遂げたのが、前述した満島ひかりそして2016年~2019年「ひるキュン!」の司会をしていた田中みな実…。

 明確な共通項は見出せませんし、それぞれの能力が元々素晴らしかったのかもしれませんが、これらの皆さんがMX出演時見せた「顔」には通ずるものが1つあるとは言い切れます。

「自らをさらけ出してテレビに出ること」これに尽きるのではないでしょうか?

 そしてその「さらけ出す」場所を提供してくれるMXというのは、昨今のテレビ業界に於いて唯一無二の存在であると言っても言い過ぎではないのではないでしょうか?

 いくら書いてもいくら書いても私なりのMX論は尽きないのですが、“次回に続く”ということで、今回はこのあたりで筆を擱かせていただきます。

徳光正行(とくみつ・まさゆき)
1971年12月生まれ。茅ヶ崎市出身。日本大学芸術学部在学中よりミュージシャンを目指すが、父の病により断念。その後、司会業やタレント業に従事する。また執筆活動にも着手し『伝説になった男~三沢光晴という人~』『怪談手帖シリーズ』などを上梓。1月28日、『現代怪談 地獄めぐり 羅刹』(竹書房文庫)を出版。現在YouTube「徳光ちゃんねる」でも活躍中。

デイリー新潮取材班編集

2021年2月11日掲載

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