田中将大の「男気復帰」本当の理由 メジャーはコロナ禍で年俸カット

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「男気というか心意気を含めて感謝しています」

 マー君こと田中将大投手(32)の楽天復帰会見に同席した三木谷浩史オーナーの言葉である。年俸は推定で9億円プラス出来高だという。

“男気”といえば、球界では黒田博樹を形容する言葉として有名だ。黒田は2015年、メジャー球団からの年俸20億円超のオファーを蹴って、“4億円プラス出来高”という格安契約で広島に復帰したとされる。

「マー君にもメジャーから10億円超のオファーはあったらしいから、こちらも紛れもなく“男気”ですよ」

 と楽天ファンが歓喜する。

「マー君がポスティングで渡米した7年前、それまで青天井だった入札金が上限約20億円に制度変更されて、楽天は大損してしまったんですよ。それを申し訳なく思ったマー君は、球団へ寄付を申し出たのですが、協定違反と指摘され断念。今回の格安契約はそのときの恩返しでしょう」

“震災10年”という節目も相まって、彼の復帰は美談として流布されている。だが本当にそうだろうか。

「黒田と違って、田中は男気だけで楽天に復帰したわけではないと思いますよ」

 と苦笑するのはスポーツ紙デスク。

「何といっても、今季のメジャーの先行きが不透明なのが大きい。メジャーでは経営側と選手会との取り決めで開催試合数に応じて年俸が減ることになっています。現に、昨季は60試合の短縮日程で、選手の年俸は一律63%カットに。仮に今季も同じ状況なら、どこかと14億円で契約できても実際に受け取れるのは5億円になってしまいます」

 日本のプロ野球も短縮日程を余儀なくされたが、年俸を一律カットするようなことはなかった。マイナスリスクのあるメジャーの14億円より、出来高でプラスにしか振れることのない楽天の9億円を選ぶのはむしろ現実的な選択だろう。

「そもそも“9億円”も信用できませんよ。ヤンキースとの契約が切れた11月頃、楽天は田中獲得のために25億円を準備したとの情報が出回りましたから」(同)

 サッカーのイニエスタに32億円もの年俸を払っている会社である。田中復帰の宣伝効果はイニエスタのそれをも凌駕するだろう。

「ただ、あまりに高額な年俸だと知れると、楽天も田中もイメージが悪くなる。そこで、球界最高年俸だった巨人・菅野の8億円に少し上乗せした9億円とアナウンスしたのでは」(同)

 真偽はともかく、マー君が手に入れた“男気”はプライスレス。いいお買い物だったに違いない。

週刊新潮 2021年2月11日号掲載

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