「役人を怒鳴りつける」「調整力不足」 河野ワクチン担当相に周囲から不安の声

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お茶を飲んだだけで「客に感染したらどうする!」

 菅義偉首相は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について、「2月中旬にスタートしたい」と述べている。そんな中、ワクチン担当相に任命された河野太郎大臣について、周囲からは「調整力不足」を指摘する声が出ている。

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 コロナを正しく警戒することは重要だが、一方で、「行き過ぎ」と思われるような事態も起こっている。

 たとえば、東京都内のタクシー運転手は、マスクをずらしてお茶をひと口飲むと、後部座席の乗客から、「客に感染したらどうする!」と怒鳴られたという。

 さるカルチャーセンターの講師は、こんな話を。

「ある教室で講師に1人、新型コロナの感染者が出た、という連絡があって、家族や関係者にも一切口外するなと。知られると、どこの教室のどの講師かという詮索が始まり、聴講生が集まらなくなるし、そうして詮索することは個人情報保護法に抵触する、というのです。どういう人がどんな状況で感染したか、知らないほうがまずいと思いますが。また、感染に対して本部がこうも過敏だと、感染したらクビになりはしないかと怖くなります。だから医者にかかるのが怖いし、PCR検査も受けたくない」

「ゼロコロナ」追求のデメリット

 昨年まで毎年、インフルエンザが原因で、日本で1万人程度の人が亡くなってきた。インフルエンザも死亡リスクを伴う感染症だが、社会は感染者を許容してきた。カルチャーセンターの講師がインフルエンザに感染したところで、1回休講になるだけで、だれも慌てなかったではないか。

 しかも、社会的影響力が大きい人が大真面目に「ゼロコロナ」を説いた結果、社会に無用の混乱が生まれている。一人はテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーター、玉川徹氏、一人は立憲民主党の枝野幸男代表である。

 1月31日、合流新党として結党以来、初めての党大会で枝野代表は、感染防止と経済再生の両立は「明確に失敗した」と政府を批判し、こう訴えた。「なんとしても命と暮らしを守る。命と暮らしを守ることのできる政権を作る。自己責任から支え合いへ。“ゼロコロナ”の日本へ。……新しい政権を作り、国民とともにこの危機を克服する」。

 医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之氏が言う。

「抗ウイルスグッズや、部屋じゅうを除菌するといわんばかりの空気清浄機の宣伝からも、すべての菌やウイルスを排除しようという風潮が見られます。しかし、菌やウイルスは人間と共存しているもの。手のひらにも口の中にもすごい数が存在し、体内も腸内細菌などは何兆個もいる。それらをすべて排除したら、人間は生きていけません。多くの人はこういう前提を知らないから、必要以上に怖がってしまうのでしょう」

 その発言が社会に影響を及ぼしうる立場の人は、基礎的な前提くらい学んでおいてもらえないものか。森田氏が続ける。

「ゼロコロナの追求にはデメリットが二つ、あると思います。ゼロコロナの方針をとっている台湾では、病院で陽性者が出たら、周囲が5千人規模で自宅隔離を命じられています。このように、日常生活が制限されてしまうのが一つ。次に、永遠に開国できなくなります。やみくもにゼロをめざせば国民が幸せになるのか、考えなければいけません。ウイルスとのある程度の共存を考えないと、永遠に鎖国という選択肢しかなくなります」

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