COCOAは「有害アプリ」という声も……厚労省が失敗した「ものすごく単純な理由」
お役所はミス連発
厚労省は制作管理をろくに行わず、システムは欠陥だらけ。ボランティアが開発に関わったというエピソードだけは美談として報じられたのはおかしい──Twitterには、こんな疑問の声が投稿されている。
「厚労省が不具合を認めるまでは、相当な時間がかかりました。そのため、隠蔽を疑う声もあるようですが、さすがにそれはないと思います」(同・井上氏)
井上氏は「厚労省は何が起きているのか、さっぱり分からなかったのでしょう」と指摘する。
「システム設計の問題を指摘されても理解できなかったと思います。具体的な不具合の苦情がネット上で増し、調査に乗り出し、やっと実態が分かったということだと思います」
日本のお役所はCOCOAだけ失敗したわけではない。マイナンバーでも不具合が相次いだように、役人は“IT”が苦手なのだ。
そもそもCOCOAの設計思想で中核を占める、「感染者が陽性を自分の意思で報告する」システムに疑問の声は多かった。
COCOA性善説
読売新聞の大阪版朝刊は1月21日、「コロナ追跡システム 接触通知 大阪6回のみ 京都、兵庫ゼロ 利用進まず」の記事を掲載した。
文中に「果たして感染者は正直に自己申告をするのか」と、データを基に疑問を投げかけている箇所がある。ご紹介しよう。
《ダウンロード数約2430万件に対し、感染の登録は9430件。これまでの国内の感染者は約37万人で、未登録の感染者が多いとみられる》
陽性になってもCOCOAに数字を入力しなかった人が多いことが分かる。不具合とは無関係に、COCOAの信頼性に疑問を持たれるのも当然だろう。
「COCOAが『感染者が自己申告する』という性善説に立っていることを問題視する声もあります。
正論だとも言えますが、当初の計画通り、ボランティアグループがコンパクトにスピード感を持って開発するアプリとしては、非常に優れた設計思想だったと思います。
自己申告というシステムに欠陥があったのではなく、厚労省が関与してからアプリの開発がおかしくなったのであり、これらは別の問題と考えるべきでしょう。
もし国が本腰を入れて、『保健所のPCR検査で陽性となった人を反映する』アプリを開発しようとしたら、予算も制作日数もCOCOAに比べると膨れあがったのは間違いありません。おまけに完成に漕ぎ着けられなかった可能性も充分にあると思います」(同・井上氏)
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