COCOAは「有害アプリ」という声も……厚労省が失敗した「ものすごく単純な理由」
田村厚労相は謝罪
だが、仮にコロナの自覚症状を感じたAさんがPCR検査を受け、陽性が判明したとする。保健所はAさんに「処理番号」を発行し、その番号をAさんはCOCOAに入力する。
「もしBさんのスマホにAさんとの『接触情報』が14日以内で残っていれば、Bさんのスマホに通知が届く。これがCOCOAのシステムです」(同・記者)
今回、発覚した不具合は「感染者との接触があっても通知されない状態が昨年9月以降、アンドロイド端末で続いていた」というものだった。
Aさんが番号をスマホに入力しても、Bさんのスマホがアンドロイドだったら、通知は来ないというわけだ。
田村憲久・厚生労働相(56)は「信頼を損ねる状況。お詫び申し上げます」と謝罪。菅義偉首相(72)も衆議院予算委員会で「お粗末なことだった」とし、「二度とこうしたことがないように緊張感を持って対応したい」と答弁した。
厚労省によると、アンドロイド版のダウンロード件数は全体の3割、約770万件に上るという。
欠陥は“周知の事実”
ITジャーナリストの井上トシユキ氏は「『お詫びを申し上げる』とか、『お粗末』とか、そんなことを言っても、ほとんど意味はないですよね」と手厳しい。
「今回の致命的な欠陥には開いた口が塞がりません。3割の人が正確な情報を受け取れなかったという時点で、全く意味のないアプリだったと言うことです。
それどころか、接触していても『接触していない』という誤情報を流した可能性さえありますから、感染を拡大させかねない有害アプリでしょう」
前出の朝日新聞によると、厚労省は不具合の把握について、《今年に入り「陽性者と接触しているはずなのに通知が来ない」といった指摘が相次ぎ、実際の端末で確認したところ、障害が判明した》と説明したという。
だが、TwitterなどのSNS上では、少なくとも昨年の秋頃から、不具合を訴えたり、プログラムの問題点を指摘したりする投稿は、相当な量にのぼっていた。
井上氏は、「COCOAが問題のあるアプリだということは、IT業界では周知の事実でした」と振り返る。
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