「原田泳幸」マック元社長がまさかのDV容疑で逮捕 “プロ経営者”の栄光と挫折
遂に退任
24時間営業の店舗は清掃が行き届かず、全体的に荒れた雰囲気が伝わってくる──SNSでこんな指摘が拡散したのも、この時期のことだ。
原田容疑者は14年、ベネッセホールディングスの代表取締役会長兼社長に就任した。しかし、就任直後に3500万件余の個人情報が漏洩した「ベネッセ個人情報流出事件」が発生してしまう。
原田容疑者は金銭補償を行うかどうかで二転三転。更に流出情報を利用した企業を批判するなど、会員から「本当に反省しているのか」と疑われてしまう。
危機管理に失敗したことで、ベネッセの業績は激しく落ちこむ。1年間で94万人の会員が解約し、15年3月期の連結最終損益は107億円の赤字に転落した。
結果、15年に日本マクドナルドホールディングス取締役会長及び日本マクドナルド取締役会長を退任。翌16年にはベネッセホールディングス代表取締役会長兼社長及びベネッセコーポレーション代表取締役社長を退任した。
19年にはタピオカドリンクで知られるゴンチャジャパンの代表取締役会長兼社長兼CEOに就任したことが話題になった。そして、今回のDV容疑による逮捕が報じられたのだ。
“長距離経営”が苦手
有森氏に取材を申し込むと、「原田容疑者の経営スタイルは短期間なら成功を収めますが、それは決して長続きしません」と指摘する。
「アップルでもマックでも、行ったことは大規模なリストラと経費削減でした。当時のマクドナルドは『日本マクドナルド』を創業した藤田田氏(1926〜2004)の信奉者が社内の中枢を占め、経営が硬直化していたのは事実です。とはいえ、“ショック療法”は一過性の効果しか得られません」
こうした“原田式経営”を有森氏は「50メートル走は得意だが、1万メートルは苦手」と形容する。
「原田氏は企業目標を数値化することに長けた人です。その目標をアメリカ流の合理主義で徹底して行うため、短期間なら業績がV字回復するのです。ところが、その後が続かない。その弱点が顕在化したのが、ベネッセ時代でした」
マクドナルドなら美味しいハンバーガーを作り、収益を伸ばすことが最重要の経営課題なのは言うまでもない。
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