淡路島に本社機能を移転する「パソナ」 売上は3250億円なのに純利益が6億円の“謎”

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 新型コロナの影響で、東京・大手町から兵庫県淡路島に本社機能の一部移転を進めていた総合人材サービスのパソナグループが、今年の秋までに新社屋を淡路島に建設するという。2024年5月までに、東京本社で勤務する約1800人のうち約1200人が淡路島へ行くことになるそうだ。コロナの持続化給付金をめぐる問題では、電通からの外注先のひとつだった同社。その特異な内情とは……。

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 パソナグループの始まりは1976年。現グループ代表取締役の南部靖之氏(69)が、関西大学在学中に人材派遣事業「マンパワーセンター」を設立したのが原点で、2000年に「株式会社パソナ」に改称し、03年に東証一部に上場した。07年にグループ会社化された後、特別顧問だった竹中平蔵氏(元郵政民営化担当大臣)が09年にグループの取締役会長に就任した。現在の連結子会社数は、67社にも及ぶ。

 南部氏は、ソフトバンクの孫正義氏、エイチ・アイ・エスの澤田秀雄氏とともに、“ベンチャー三銃士”と呼ばれているが、

「孫氏は、いわば21世紀の松下幸之助とでも呼ぶような経営者。澤田氏は、赤字続きだったハウステンボスを黒字化させた功績があります。その点、南部氏は特異な経営者といえますね」

 と解説するのは、ビジネス評論家の山田修氏。

「まず、南部氏はパソナグループの株を約40%も実質的に保有しているのがポイントです。同グループは、2020年5月期の売上が3250億円という大企業。これほどの規模の上場企業の場合、創業家の持ち株は数%が普通です。40%も実質保有していれば、会社の中では怖いもの知らず。好き放題にできるわけです」

純利益率は0・2%

 パソナの経営戦略は、コミュニケーション力という。

「パソナの会社案内や沿革を見ると、ある特徴が見えてきます。それは毎月のように『シニア層の雇用』や『就職先のない大学生の契約採用』など、新たな事業を発表したり、子会社を立ち上げている点です。つまり南部氏は大変なアイデアマン。こうした発想力を武器に会社の知名度を上げているのです」(同)

 知名度の高さは、株価にも良い影響を与えている。

「パソナは、人材派遣では業界4位です。1位がリクルートHD、2位はパーソルHD、3位がアウトソーシングです。にもかかわらず、昨年12月30日付の株価を見ると、パソナは2072円。リクルートHDは4321円、パーソルHDは1861円、アウトソーシングは1381円です。売上が1兆2500億円あるリクルートHDには劣りますが、パソナは2位や3位よりも高い。これは知名度の差ですね。投資家との“コミュニケーション戦略”の賜物だと見ています」(同)

 肝心の会社の利益はどうか。

「売上が3250億円もあるのに、純利益は5億9400万円しかありません。純利益率にしてわずか0・2%です。リクルートHDの7・6%、パーソルHDの0・8%、アウトソーシングの2・3%と比べても、いかに低いかがわかります。数字上は赤字スレスレになっていますね。まるで西武鉄道グループの不動産会社だったコクド(旧国土計画)を思い出します。売上が1兆円をこえていたのに、赤字決算にして法人税を払ってなかったのです」(同)

 純利益が少ないのは、販売管理費が多いからだと山田氏はいう。これは事業における販売業務や管理業務で発生した経費を指すが、

「アウトソーシングの売上は3612億円ですが、販売管理費は587億円です。一方、パソナは660億円もあります。仮にアウトソーシングと同じ割合で販売管理費を計上すると527億円で、パソナは133億円も多い。これが何に使われているのか。内訳は公表されていないので確認しようがありませんが、淡路島移転や、『仁風林』での政治家や各界著名人の接待費に使っているのでしょうか」(同)

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