コロナの恐怖を煽るテレビ番組制作者のホンネ 「羽鳥モーニングショーは良く練られた番組」
「東京都としては、この年末は少しは(新型コロナウイルスの)感染が収まるのではないかと期待していました。しかし、1000から1500人、さらに2000人と、誰も経験したことのない急拡大の領域に入っています」
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新型コロナの感染者拡大を受けて、首都圏の1都3県に2度目の緊急事態宣言の発令が決まった1月7日夜のNHK「ニュース7」。都庁記者クラブ担当の若い女性記者が、中継リポートでこう発言していた。
だが、少し冷静になった方がいい。2018~19年シーズンの東京都の季節性インフルエンザ患者報告数(419カ所のインフルエンザ定点医療機関からの報告値)は1月第1週が3145人(1日平均450人)、第2週が1万3064人(同1866人)、第3週が2万1850人(同3121人)、第4週が2万6635人(同3805人)。実際の患者数は間違いなくこれを遥かに上回る。
これに対して東京都の新型コロナ感染者数(PCR検査陽性者を「感染者」として算出)は1月第1週が6031人(同861人)、第2週が1万2354人(同1764人)、第3週が1万3487人(同1926人)、第4週が7362人(同1051人)。このデータを見比べただけで、「誰も経験したことのない急拡大の領域」などという記者のコメントは大袈裟であることがお分かりいただけるだろう。
それに日本の場合、インフルエンザには毎年1千数百万人が感染し、関連死を含めると約1万人が死亡するとされている。ところが新型コロナの感染者は最初の感染者確認から約380日が過ぎた1月29日時点でわずか38万4039人(20年末時点の国民の0・3%)、死者は関連死を含めても5596人に過ぎない。しかも死者の9割以上は、持病の悪化による関連死。欧米諸国に比べて感染者数が圧倒的に少ない他の東アジア諸国と同様、黄色人種である日本人が国民の感染率7・8%の米国や、5%前後の欧州各国のように新型コロナをそれほど恐れる必要はない。
新型コロナの感染拡大を「感染爆発」「国難」「未曽有の事態」「パンデミック」などと、初めて知った言葉で大袈裟に煽り立てる不見識な政治家や芸能人、さらには自己保身や売名に走って右顧左眄する自称“専門家”の医師の言葉の軽さには慄然とさせられる。
国民に弛まれては困る菅政権
そしてこうした的外れの煽り発言ばかりを紹介し、日本人の不安を煽り立てているのが、民放のワイドショーを中心とするテレビメディアだ。記者数や番組予算が民放に比べて桁違いに多く、テレビメディアの中では常に羨望の眼差しが向けられるNHKでさえ、冒頭のような不勉強な煽りコメントを平気で垂れ流す体たらく。況や、スポンサーからの広告料に依存する視聴率重視の民放をや、だ。ある民放ワイドショーのディレクターが、新型コロナの煽り報道について偽らざる心境を明かす。
「秋口には落ち着いていた新型コロナの感染者数が11月半ばから増え始めると、新型コロナの怖さを強調するネタを取り上げた時間帯の視聴率が上向き始めました。新型コロナのコーナーが終わり、従来は視聴率の高かった芸能ニュースのコーナーに移ると、視聴率はむしろガクンと下がる。そうなると必然的に、視聴者の不安を掻き立てる方向で新型コロナの話題を取り上げることになります」
なるほど、やはりワイドショーが不安感を煽り立てる背景にあるものは視聴率なのだ。このディレクターが続ける。
「2度目の緊急事態宣言発令当日の1月8日以降、発表される新型コロナの感染者数は明らかに減少傾向を示しており、本来なら『感染者数は減少傾向にあります。皆さん、あと2週間頑張りましょう』と伝えるべきなのでしょうが、『国民を安心させるようなニュースを流すと、弛んだ国民が移動を再開して、却って感染者数を増やすことになる』として、新型コロナに関する前向きな情報は敢えて取り上げません。面子に拘って2類相当から5類相当に指定替えせずに墓穴を掘った菅政権が、『関係する都府県民に弛まれては困る』と焦っている以上、こちらも不安を煽る報道を続けていた方が無難なのです」
別の民放のワイドショー関係者は、新型コロナの感染状況に関する前向きな情報を取り上げない理由について、異なる意見を語る。
「新型コロナ感染の実態を把握している医療現場の関係者からは『感染者は国民のほんの一部に過ぎず、欧米より一桁、二桁少ないのに、なぜ不安を煽る取り上げ方ばかりするのか』『なぜ2類相当を5類相当に変更するよう政府に圧力をかけないのか』とのお叱りを受けることがあるのは確かです。とはいうものの、新型コロナに感染して実際に亡くなった人の家族が存在する以上、『単なる風邪です』とはさすがに言いづらい。それに弱い立場、気の毒な立場の人たちに寄り添うようなスタンスは、従来からのわれわれの基本です。もちろん、それは建前に過ぎませんが……」
ただ、「視聴者の不安を掻き立てる新型コロナ関連の情報の方が、視聴率を稼げる」という点については、前出のディレクターと全く同じだ。このディレクターが本音を語る。
「目に見えて病床が逼迫している病院の映像は視聴者に訴える力が強いため、どうしてもそうした病院の『大変なんだ!』という声を中心にVTRを作ることになります。そのコメント内容がセンセーショナルではない場合でも、病院の映像だけで確実に視聴率を稼げるからです。これは民放の宿命でもあります」
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