「中国製風車」が倒壊事故 同社の風車は全国に400基も
傾き始めた菅政権の切り札「脱炭素化」の出鼻をくじいた格好だ。2050年までの温室効果ガス実質ゼロを目指し、再生可能エネルギーが脚光を浴びている。その折も折、長崎に設置されていた中国製風車が根元から倒壊したのだ。
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「ドーン!」
けたたましい音が轟いたのは、昨年10月1日13時頃。長崎県松浦市に設置されていた小型風力発電機が根元から倒壊した。
小型とはいえ、発電機は高さ20メートルほど。風速6メートルなら年間8万キロワット以上を発電することが可能だ。事業主の企業は経産省が所管するFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に参画し、2018年に都内にあるHYエネルギーという会社が約2千万円で販売しているこの風車を購入し、設置していたのである。
事情通によれば、
「HYエネルギーは中国人が経営者で、かつては自民党の二階俊博幹事長の次男が役員として名を連ねたことで知られていました。この発電機を購入した事業主はメンテナンス費用を差し引いても年間200万円ほどの利益が上がる予定でした。10年で初期投資を回収できるはずだったのに、それが2年で倒れてしまったのですから、大損です」
製造元はGHREという中国の会社。風車は中国の工場で作られたため、販売元のHYエネルギーとGHREの間で責任のなすり合いとなっているのである。
ボルトが折れる
事故直前に辞任するも、今も事故対応をしているHYエネルギーの前代表が言う。
「今回の事故は、タワーと土台を溶接で繋いでいる部分の少し下、タワーの下部がポキッと折れてしまったことで起きました」
その原因については、
「風車の羽根を結合する際、ボルトが強度不足だった可能性があります。羽根がガタガタと揺れてしまい、その振動でタワーに過重な負担がかかり、倒壊したのではないか。実際、GHREのボルトは設置の際によく折れていて、GHREの工場に改善の要求を出していたんです」
かたや、GHRE日本事業部のマネージャーは上海から記者に電話をかけてきて、こう反論するのだ。
「弊社からすればHYエネルギーの主張は事実に反します。ボルトの強度については出荷前に第三者機構によるレポートで確認済みだからです。向こうの主張はエビデンスに基づいているのでしょうか。今回の事故については調査中で、本当の原因が突き止められ次第、公表する予定です」
倒壊から3カ月以上が経過しても、両社の主張は平行線を辿るばかり。さらに不安視されるのは、
「ウチが手掛けた同じ型の発電機は全国で100基ほどが稼働しています。目視と音の検査で異常はありませんでしたが、今後もっと詳しい検査を行う予定です」(HYエネルギーの前代表)
他の企業が設置したものも含めると、GHRE製の小型風車は日本で400基が稼働中とも言われている。
経産省の担当者に聞くと、
「小型風力発電機について、設置されている数は把握できていません」