事件現場清掃人は見た 孤独死から2年後に発見された元IT会社「30代男性」の悲劇

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うつ病と闘う

 遺体が発見された和室は、ひどい有様だったという。

「畳の上に蒲団が敷かれたままで、ご遺体があった跡が影法師のように黒ずんでいました。蒲団を上げると、蒲団に残っていた人型が、コピーしたように畳にも残っていました」

 高江洲氏は、遺品の中から、意外なものを発見したという。

「本棚を見ると、『うつ病と闘う』という類の本が20冊以上ありました。どうやらうつ病が原因でひきこもっていたようです。弟さんの話では、亡くなる3年前に発病し、会社を無断欠勤するようになった。加えて、内臓疾患もあったそうです。本人と連絡が取れないため、弟さんは警察を呼んで鍵を開けてもらい部屋に入ったところ、机の前に座ってぼーっとしていたといいます」

 その後、弟は心配して何度か様子を見に行ったそうだが、

「弟さんが『大丈夫?』と声をかけると、『もう来るな!』と怒鳴られたそうです。ご両親は高齢で、弟さんとも疎遠になり、交流がなくなったということでした」

 そんなことがあったせいか、

「弟さんからお話を伺った時、兄さんの死に対する悲しみというものが感じられませんでした。普通は『もっと会っておけば良かった』とか、後悔の言葉が出てくるものですが、それがないのです」

 事故物件となったマンションはリフォーム後、競売にかけられたという。

「3DKの80平米で、新築で5000万円近くしたそうですが、競売にかけられ数百万円で買い手が付いたそうです」

週刊新潮WEB取材班

2021年1月29日掲載

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