事件現場清掃人は見た 孤独死から2年後に発見された元IT会社「30代男性」の悲劇
孤独死や自殺などで、遺体が放置された部屋は、悲惨な状態になる。亡くなった人の痕跡を消し、原状回復させるのが、一般に特殊清掃人と呼ばれる人たちだ。2002年からこの仕事に従事し、昨年『事件現場清掃人 死と生を看取る者』(飛鳥新社)を出版した高江洲(たかえす)敦氏に、東京近郊のマンションで2年間遺体が発見されなかったケースについて聞いた。
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高江洲氏は、これまで3000件以上の特殊清掃を行ってきたが、そのうち7割が孤独死だったという。
「今回お話するケースの依頼人は、亡くなった男性の弟さんでした」
と語るのは、高江洲氏。
「白骨化した遺体で見つかったのは、IT企業に勤務していた30代の男性でした。亡くなる3年前からひきこもりとなり、会社を退社。近所づきあいもなく、両親や弟さんともほとんど没交渉だったそうです」
死因は、心不全だった。
「亡くなった後も、ただ時間だけが過ぎていきました。典型的な孤独死でした」
強制執行で遺体を発見
孤独死の場合、かなり時間が経過してから、部屋から漏れてくるにおいに気づき、家主や近所の住人が警察に通報するケースが多い。
「ところが、彼が住んでいたのは新築の分譲マンションだったため、機密性が高く、ほとんどにおいが外に漏れなかったのです」
遺体が発見されたのは、死後2年も経ってからだった。
「住宅ローンの支払いが滞り、裁判所が差押えのために強制執行をしたことで発見されたのです。警察から親族へ連絡が行き、弟さんから私に依頼が来たわけです」
高江洲氏は、すぐに現場に駆けつけた。
「玄関を入ると、フローリングの廊下があって、奥にリビング、左手にバス・トイレ。右手の奥が6畳の和室になっていました。和室で亡くなっていました」
さすがにいつもの現場とは違ったという。
「2年間も全く換気せずこもっていたにおいは、ものすごい悪臭で、思わずたじろぎました」
これまでとは違ったのは、男性以外に動物の死骸があったからだといいう。
「きれいに整理されたリビングの片隅に、小さなケージに入った動物の死骸を見つけました。骨と毛しかありませんでしたが、小さなテーブルの上には、可愛らしいウサギの写真が何枚かありましたからね。亡くなった男性は、ウサギだけを話し相手に暮らしていたのでしょう」
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