高畑充希「にじいろカルテ」は好スタート “ヒットの方程式”を敢えて無視したテレ朝の狙い

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その点、「にじいろ」カルテは…

 ひょっとしたら、「にじいろカルテ」の三輪祐見子ゼネラルプロデューサー(51)はそんな現状に危機感を抱き、この作品を企画したのかも知れない。若い人をターゲットにして制作されている連ドラを、全世代型の連ドラで打ち負かそうとしているのではないか。

 それが成功したら、流れは変わる可能性がある。三輪さんはこれまでにも「遺留捜査」「BG」「緊急取調室」など全世代型のヒット作を作り、若い人の支持も得てきた。

 この連ドラは、いわゆる「ヒットの方程式」めいたものを無視している野心作だ。設定からして新しい。難病と闘い、弱者の立場である真空が、やはり弱者である過疎の村の高齢者たちを救う。助け合う。定石どおりだと、過疎の村に現れるのは赤ひげのような医師である。

 ただし、奇をてらった設定ではない。日本が間もなく迎える超高齢化社会と相似形なのだから。

 出演者の布陣からも野心作であることが分かる。同僚医師役で井浦新(46)、看護師役で北村匠海(23)が出演しているものの、ほかには50歳以上の役者がずらり。日テレのコアターゲットから外れた役者たちだ。

 光石研(59)、西田尚美(50)、泉谷しげる(72)、そして超ベテランの水野久美(84)らである。若い人にターゲットを絞った連ドラではあり得ない。

 脚本を担当しているのは巨匠・岡田惠和氏(61)。昨年10月期の恋愛ドラマ「姉ちゃんの恋人」(関西テレビ、フジ系)は賛否両論あったが、今回は冴え渡っている。岡田氏は全世代に向けた連ドラのほうが書きやすいのではないか。

 個人視聴率の嵐が吹き荒れ、連ドラが自由に作りにくくなる中、歴史的名作になる予感をさせる。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

週刊新潮WEB取材班編集

2021年1月28日掲載

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