「今際の国のアリス」が世界的にヒットした理由、「山﨑賢人」の世界的俳優への道
再生世帯数は1800万超
遂に会員数が2億人を突破したNetflixで、いま配信中の日本語ドラマ「今際の国のアリス」が世界中で受けている。世界40カ国で再生ランキングTOP10入りを果たし、再生世帯数は1800万を超えるという。これは日本発のNetflixドラマとしては過去最高の記録だ。なぜ「今際の国のアリス」がヒットしているのか。そして、主演の山﨑賢人は世界的俳優にステップアップしていくのか――。
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2021年1月19日に発表された米国Netflixの決算報告によると、2020年通期の会員数純増は3657万人となり、累計では遂に2億人の大台に乗った。
また、2020年第4四半期(10~12月)の売上も前年同期比22%増の66億4444万ドル(約6900億円)となり過去最高を更新。
新型コロナウイルス感染拡大による世界規模での「巣ごもり需要」を捉えた2020年前半の勢いを衰えさせず、絶好調の勢いを維持していると言ってよい。
そのNetflixで2020年12月10日から配信が始まったのが、佐藤信介監督のドラマ「今際の国のアリス」だ(「いまわのくに」と読みます)。
このドラマは、山﨑賢人演ずる主人公が友人と一緒に、ふざけて逃げ込んだ渋谷駅のトイレから外に出てみると、普段なら人でごった返しているはずの駅前スクランブル交差点から、誰も人がいなくなっていたという衝撃のシーンから話が始まる。
主人公はその後、正体不明の「ゲーム」に参加せざるを得なくなり、生き残りをかけて必死に戦っていくというのが冒頭の筋だ。
ある日、気づいたら誰も居なくなっていた――。
「文明が消失する」というこの構図は、日常が突然喪失することによって話が動き出すという、一種劇的な「異化効果」を生む舞台設計として、多くの作家に愛用されてきた。
SF話の二番煎じなのか
例えば、小松左京のSF小説『こちらニッポン…』(1977年)では、泥酔した主人公が起きたら、周囲に人っ子一人居なくなっていたというところから話が始まる。
「今際の国のアリス」も同じ。ある日突然、人が居なくなってしまうのだ。「不条理」極まりないシチュエーションだ。
では、これはよくある荒唐無稽のSF話の二番煎じなのか。
もしそうであれば、これほど世界でヒットはしていないだろう。
おそらく、コロナ禍の中で公開されたという「タイミング」が「今際の国のアリス」を世界で大受けするドラマにしているのだ。
昨年春の緊急事態宣言で、日中の渋谷スクランブル交差点から人がいなくなるという異常な光景が、繰り返し報道されたことを覚えている人は多いだろう。
日本だけではない。ロックダウンされたNYやロンドン、パリも同じだった。普段なら人があふれかえっているタイムズスクエア、ピカデリーサーカス、シャンゼリゼ通り等の繁華街から、人がほとんどいなくなったのだ。
このコロナ禍の共通経験こそが、「今際の国のアリス」をリアルなものにしている。「突然、人が誰もいなくなってしまう」という不条理な設定が、コロナ禍そのものが持つ「不条理性」とシンクロして、この作品をリアルなものとして感じさせるのだ。
これまでは、SF映画やゾンビ映画で設定される文明崩壊シーンや無人の街は、「まぁ、そういう設定ということですよね」として、若干のバカバカしさを感じつつも受け入れるというフェイクな側面があった(ちなみに『バイオハザードIV アフターライフ』(2010年)でも「雨のスクランブル交差点」が登場します)。
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