東京五輪中止、32年に延期説も……ならば選手村マンション「晴海フラッグ」はどうなる?

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五輪中止で2割下落

 実際、今年の五輪開催が中止となれば、間違いなく解約者が相次ぐという。

「晴海フラッグの売りは、五輪の選手宿舎として使われたということでしょう。中止となれば、ただのマンションですよ。資産価格はガタ落ちです。契約した人の半数は解約するでしょうね。契約者が450戸に減れば、4145戸のうち、約9割が売れ残ることになる。その後の販売は苦戦を強いられるでしょう。とはいえ、すでに契約した人がいるため、2、3年間は値引きができないでしょう。結局、全て売るには7年くらいかかるのではないでしょうか」(同)

 五輪中止なら、すぐに販売価格は2割程度下げる可能性もあるという。

「すでに契約した方も含め、2割下げればいいわけですからね。例えば7000万円だったものが、5600万円になります。それでもデベロッパーは、利益が出ると見ています」(同)

 なぜ利益が出るのか?

「都から非常に格安な値段で土地を購入したからです。1戸当たりの土地の価格が約250万円ですよ。あまりにも安く都が売却したので、現在、東京都を相手取って住民訴訟が起こっています」(同)

 東京都は、2016年末に三井不動産などの開発業者11社に13万3906平米の土地を129億6000万円で売却。周辺の地価に比べて10分の1以下の激安価格だったため、17年8月、「晴海選手村土地投げ売りを正す会」の住民33人が値引き分を不動産会社に請求するよう都に提訴している。

 仮に、五輪が2032年に延期されたらどうなる。

「32年開催なら、11年後でしょ。そんな先まで待つことは不可能です。晴海フラッグは選手村としては使用するのを諦め、すぐに分譲マンションとして売却するしかありません。有明には他にも東京都の土地がありますから、新たに選手村を建てるしかないでしょうね」(同)

いずれにせよ、晴海フラッグはあまりおススメできる物件ではないということか。

週刊新潮WEB取材班

2021年1月26日掲載

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