「クドカン」母が考案したコロナを乗り切るアイデアがすごい! 「孫アンケート」とは
ある地方紙に載った投稿がSNSで話題となっている。コロナ禍で娘や息子の家族が帰省できず、孫にも会えない。そんな淋しさを抱えた女性が孫たちと通じあえたのは、「アンケート」だったという。実はこの女性、人気脚本家のクドカンこと宮藤官九郎(50)の母なのである。
***
クドカンの母、宮藤泰子(たいこ)さん(86)は宮城県栗原市内で文具店を営んでいる。「アンケート」とのタイトルで彼女の投稿が掲載されたのは、昨年10月13日付の河北新報。
昨年来、コロナで2人の娘や息子のクドカンとその家族らに会えていない。お盆にも集まれず、泰子さんは一計を案じた。
〈せめて、ほんの気持ちだけでもと思い「お盆のお小遣い」を送ることにしました。/孫は東京などに住む5人。ふと思い付いて短い手紙にアンケートはがきを同封しました〉
その名称は「今一番アンケート」。食べたいものと見たいもの、ほっとする時間という三つの問いを投げかけたという。
孫たちから答えが返ってきた。食べたいものは、オムライスやでっかいステーキ、抹茶アイスに雑炊、焼きそばといった具合。それを読んだ泰子さんは、
〈一人一人としゃべっているような気がしてきます。いつの間にか気持ちがふわっとして幸せな気分になっていました〉
5人全員から返事
このご時世、Zoomはともかくとして、電話はもちろん、メールやLINEなど、孫たちとの通信手段はいくらでもある。
なぜ、はがきでのアンケートだったのか。当の泰子さんに聞くと、
「孫たちは4人が社会人で、官九郎のところだけが中学生の女の子。大きくなると、手紙を送れって言っても、忙しいからなかなかそんな時間はとれないでしょ。電話をすれば出てはくれるけど、ゆっくり話してもいられません。私は昨年スマホデビューしたばかりでメールも使い慣れてないし。それで、はがきでのアンケートにしたというわけ」
質問する内容については、
「“どうしてるの。これから何をしようと思っているの”なんて真面目に難しく書かれても、返事が大変だろうからね。孫たちがうちに来たとき、いつも“何を食べたい?”って聞くもんだから、それをそのまま聞いたんです」
すると5人全員から返事があったというわけである。
「嬉しくってね。返ってきたはがきは、仏壇に並べてあるんですよ。官九郎の娘は、“ソファにひっくり返って寝ているとき”がほっとする時間なんですって。あと、見たいものは、5人中3人が『半沢直樹』でした。送ったのがお盆でしょう。だから半沢直樹って答えが返ってくるかなと思って聞いたんです」
アンケートの設問にも、孫を想う時間が詰まっていて、温かみが感じられる。
「でも、今年のお正月も誰も帰ってきませんでした。本当に淋しいお正月で。コロナさえなければね……。正月は、アンケートではなく年賀状を送りましたよ」
泰子さんの知恵から生まれた「孫アンケート」。コロナ禍が長引くことも視野に入れると、孫に会えない祖父母には、この新しい交流の形は妙案かもしれない。