「杉咲花」が好演も視聴率低迷の「おちょやん」 朝ドラの構造的問題とは
見事なハマリ役なんて声が聞こえてくる杉咲花、23歳。NHKの朝ドラ「おちょやん」のヒロインに抜擢され、その演技は評価が高い。しかし、なぜか視聴率がついてこないのだ。
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昨年11月30日から放送が始まった朝ドラのヒロインは、松竹新喜劇などで上方女優として活躍した浪花千栄子がモデルである。劇中では東京出身の杉咲が本場顔負けの河内弁を披露。貧しい家に生まれながら女優を目指す一代記が描かれる。
本誌(「週刊新潮」)コラムでお馴染み、ライターの吉田潮氏は、
「子役の頃から演技が上手で評判でしたね。すでに映画やドラマで主演を務めているので、いつか朝ドラに出ると思っていました」
『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)の著者でライターの木俣冬氏も同調する。
「ヒロインに求められているのは健気で頑張る女の子の姿です。特に今回はド根性で女の子が這い上がるというストーリーなので、清らかさを失わず、頑張れと応援したくなる彼女は適任です」
主演女優として賛辞を受けるも、一方で数字はイマイチ。初回の平均視聴率は18・8%と20%を割り込み、直近でも18%周辺をうろうろ。全話の平均視聴率で20%を超えた前作の「エール」に比べるとどうしても見劣りするのである。
木俣氏はこう分析する。
「『エール』は音楽の世界の話で、視聴者も曲を自身の記憶と結び付けて感動が膨らみやすかった。今作は演劇モノですから、どうしても馴染みが薄く、受け入れるのが難しい方もいると思います」
「視聴者の新規開拓」
さらに、朝ドラの構造的な問題を指摘する。
「1961年から続く朝ドラはいまや、歌舞伎に代表される伝統芸能と似たようなものです。『おしん』のような朝ドラの伝統である苦労物語をベースに、新しいものも取り入れていかなくてはならない。2000年代の朝ドラは視聴率が低迷する中、話題になったのが13年の『あまちゃん』でした。宮藤官九郎脚本でサブカルに興味がある層など、視聴者の新規開拓をしたわけです」(同)
脚本家の北川悦吏子氏を起用した18年の『半分、青い。』では、恋愛要素を高め、視聴者を取り入れようとしたが、
「そういう方向に舵を切ると、視聴者が固定されず一作ごとに見る人が変わるようになります。伝統と革新のバランスをどうとるか。制作する側もなかなか苦心されているだろうと思います」(同)
もちろん、朝ドラに出演した意義は大きいと吉田氏。
「長い間、同じ共演者やスタッフと苦楽を共にする杉咲さんは座長のようなもの。その経験は女優人生に間違いなくプラスですよ」
数字が悪くても、ドラマの主人公同様の成長曲線が期待できそうだ。