日本のドラマ界を背負ってきた「長瀬智也」24本目の主演ドラマ「俺の家の話」と「ポスト長瀬」

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ジャニーズにやらせていいのだろうか

 四半世紀以上の長きにわたって俳優を続けてきた長瀬。退所後は裏方にまわるという報道も出ており、今回が最後の連ドラになる可能性もあり、寂しいところだ。

 もちろん、代わりがいない俳優であることに間違いはないのだが、あえて“ポスト長瀬”になりうるようなジャニーズ俳優を考えてみよう。

 それは、ジャニーズWESTの重岡大毅だろう。

 2014年のCDデビュー前からドラマに出演、2019年から2020年にかけては5クール連続でのドラマ出演を果たした重岡。

 NHK「これは経費で落ちません!」(2019年)も話題になった。

 重岡はまず、ジャニーズの基本形である2枚目も、3枚目もいけるタイプだ。

 映画「溺れるナイフ」(2016年)では、クールな2枚目の役割を菅田将暉に任せ、ヒロインがその優しさに惹かれる、シーンによって「2と3」の線の間を絶妙に揺れ動く男を好演した。

 むしろ、見ている側としては、3だと思っていた男にヒロインが唇を奪われた瞬間が、一番ドキドキしたかもしれない。

 プライムタイム初の連ドラ出演となった宮藤官九郎脚本の「ごめんね青春!」(2014年・TBS)では、宮藤が重岡本人を見て着想した「からくり人形」というあだ名の人物を演じ、相性もバッチリ。

“ルックスはいいが童貞性が強い”という、宮藤とジャニーズが組むことで生まれるものを濃縮したようなキャラクターで、生徒役のひとりとして大いにコメディ要素に貢献していた。

 昨年の「知らなくていいコト」(日本テレビ)では、ヒロインの吉高由里子に婚約破棄をつきつけ、その後も嫌がらせをする悪役を演じた。

 それこそ、ジャニーズにやらせていいのだろうかと思う、本当に嫌な奴の役である。

想像を超える良作

 さらに、昨年末にNHKで放送された「悲熊」では、なんと熊に。

 重岡が熊の着ぐるみをきたドラマ、と聞くと、コントかふざけて作られているように聞こえるかもしれないが、想像を超える良作だ。

 原作は漫画なのだが、重岡が演じることによって、人間社会では珍しい熊が、この社会の中でマイノリティとして生き、強く出られずに割を食っている“人”にも見え、ぐっと奥行きが出るのである。

 熊としてのピュアなかわいさを醸し出せる上に、作品に奥行きをもたせられる俳優として、重岡にハマったキャスティングだった。

 と、いったように、

1.二枚目はもちろん3枚目もいけ
2.宮藤官九郎脚本との相性もよく
3.キャラクターも
4.悪役も

 いけるという、ここまで解説した長瀬的要素を持つのが重岡なのである。

 長瀬は「ひょっとしたら誰かの人生が変わるかもしれないっていう思いは常に持っている」(*5)という強い思いでドラマ出演をしてきたという。

 今後も長瀬や重岡の出演するドラマは、世界の見え方を変えてくれるかもしれない。

「泣くな、はらちゃん」では、長瀬演じるはらちゃんが、自分たちの物語を描いた女性を“神様”と崇めてこう伝える。

「世界を変えてください。あなたが笑えば世界は輝くんです」

 ドラマの創造主である長瀬の笑いに、世界が輝いた28年間だったに違いない。

<参考>
(*1)「日経エンタテインメント!」2016年3月号
(*2)「映画の宮藤官九郎」/キネマ旬報社
(*3)「日経エンタテインメント!」2014年8月号
(*4)「zakzak」2013年11月1日
(*5)「TVガイド PERSON VOL.41」2016年1月9日

霜田明寛
1985年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。9歳でSMAPに憧れ、18歳でジャニーズJr.オーディションを受けた「元祖ジャニヲタ男子」。就活・キャリア関連の著書を執筆後、4作目の著書となった『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)は4刷を突破。 また『永遠のオトナ童貞のための文化系WEBマガジン・チェリー』の編集長として、映画監督・俳優などにインタビューを行い、エンターテインメントを紹介。SBSラジオ『IPPO』凖レギュラー。

週刊新潮WEB取材班編集

2021年1月22日掲載

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