小倉智昭が君臨した22年、フジ「とくダネ!」はリニューアルでなく番組終了のウラ
フジテレビの朝の顔「情報プレゼンターとくダネ!」が3月26日の放送をもって終了する。メインキャスターは言わずと知れた小倉智昭(73)。番組冒頭で、1人で持論を喋るのが名物となり、長らく朝8時台の視聴率トップに君臨した。だが近年は、その勢いもすっかり衰えていた。
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「とくダネ!」の終了が発表され、フジテレビ内ではこんな声が出ているという。
「やっと終了することができた。とにかく時間がかかったが、もう遅いかも……」
昨年まで、朝の情報番組の年間平均視聴率で4年連続民放トップを取っているのは「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)だ。最近の「とくダネ!」は、「スッキリ」(日本テレビ)にも抜かれ、3位に甘んじることも多かった。民放プロデューサーは言う。
リニューアルすべきとの声はあった
「視聴率低下の要因は、小倉さんが年を取ったせいでしょう。当初は辛口でキレのあるコメントをしていても、やはり年齢には勝てません。面白いコメントが少なくなると、番組の良さも半減しますから」
ならばもっと早く、リニューアルを図る手もあったのではないか。
「もちろん、番組スタッフは『早くリニューアルしないと視聴率が落ちていく』と話していたそうです。朝の情報番組は、夜のドラマやバラエティなどと違って、時計代わりに見ている人が多い。一度、他の番組で視聴習慣がついてしまったら、なかなか元に戻らないものです。結局、リニューアルも、小倉さんを卒業させることもできないまま、今に至ってしまったということです」
とはいえ、彼の功績が大きいのも事実。
2年で同時間帯トップに
「とくダネ!」が始まる前、同時間帯には「ルックルックこんにちは」(日テレ、8:30~)、「はなまるマーケット」(TBS、8:30~)、「おはよう!ナイスデイ」(フジ、8:30~)、「スーパーモーニング」(テレ朝、8:00~)があったが、「ルックルック」の独壇場だった。
そこでフジは8時スタートの「ポンキッキーズ」を夕方の枠に移動し、「とくダネ!」を30分前倒しのスタートにし、司会には後枠で「どうーなってるの?!」の司会だった小倉を起用した。放送記者は言う。
「小倉さんにとって、ワイドショーの司会は夢だったそうです。かつての『小川宏ショー』(フジ)が好きで、ワイドショーをやりたいとフジのアナウンサー試験も受けたそうですから。結局、彼は現在のテレビ東京に入社。その後、フリーになって『小川宏ショー』でリポーターも務めた。そして念願のワイドショーのMCとなり、17年続いた『小川宏ショー』を抜くことを目標にした。彼は番組を引き受けるに当たり、“冒頭をスタジオショットのフリートークでやらせて欲しい”と条件を出したそうです」
それまでのワイドショーといえば、最初の20~30分はニュースや話題のVTRを流した上で、「おはようございます」とスタジオに戻るのが定番だった。
「『とくダネ!』では、冒頭から小倉さんが一人で登場し、持論を蕩々と述べるスタイルにしました。その切り口が斬新でした。番組スタート当初、世間を騒がせていたのはサッチー(野村沙知代)VSミッチー(浅香光代)騒動のまっただ中で、彼女らのどちらかが画面に出て吠えれば数字は上がりました。しかし、こうした番組作りからいち早く降りたのが『とくダネ!』でした」
番組で、彼はこう語った。
小倉:(野村の学歴詐称について)国民は許さないとかいうコメントが多いが、こういうことで国民とか日本人という言葉を使うのが非常に気になる。勝手にやってなさいという人はたくさんいるはず。
「女同士のくだらないケンカと言って取り上げなくなり、代わりに政治問題や社会問題などを取り上げていきました。前番組の『おはよう!ナイスデイ』の平均視聴率は5・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)でしたが、『とくダネ!』は初回から7・0%を獲得。その後もジワジワと数字を伸ばし、翌年には王者『ルックルック』を週に何度か追い抜くようになっていきました」
そして01年2月、月間平均視聴率で「とくダネ!」(9・0%)は「ルックルック」(8・7%)を抜き、以後、同時間帯1位の座を維持していく。
「日テレは3月を以て『ルックルック』を終了し、4月から向井亜紀を司会に抜擢した『レッツ!』をスタートしますが、伸び悩みました。国内では、劇場型と言われた第1次小泉純一郎内閣が発足、9月11日にはアメリカ同時多発テロ事件も起こり、世の中が芸能と事件だけではない『とくダネ!』の番組作りを求める方向に変わっていきました」
日テレは「レッツ!」を1年で打ち切り、峰竜太をMCに立てた「ザ!情報ツウ」をスタートさせる。その一方で03年1月には、「とくダネ!」は月間平均で10・1%と初の二桁に乗せた。
「この余勢を駆って、フジは『とくダネ!』を夜の生放送に進出させましたが、さすがに1年で打ち切られました。それでも朝のほうは依然として強かった。06年には日テレが『スッキリ!!』をスタートさせ、逆転されることもありましたが、再び首位に返り咲きました」
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