藤井聡太、初CM契約が対局に与える意外な影響 「初手お茶」のルーティンが崩れ
空前の将棋ブームの立役者となったのは、多くの最年少記録を塗り替えた藤井聡太二冠(18)その人に違いない。斯界(しかい)の宝は今年3月の高校卒業を機に大手飲料メーカーのCMに起用される。しかし、そこで浮上した「お茶問題」が彼のルーティンを乱すのでは、と懸念されているのだ。
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昨年末、日本将棋連盟は藤井二冠が洋菓子メーカーの不二家と飲料メーカーのサントリー食品インターナショナルの2社との広告契約を3月から結ぶと発表した。まだ高校3年生ゆえ、これまでCM出演などは控えてきたが、いよいよ卒業となり、その「縛り」が解けたというわけだ。
ペコちゃんでお馴染みの不二家とは因縁がある。デビュー後の29連勝時、藤井二冠が対局中に同社のチョコレート「LOOK」でエネルギー補給をし話題になった。その後、不二家は社長名で大量の「LOOK」を藤井二冠に贈っていた。
他方、サントリーは緑茶の伊右衛門やサントリー天然水などの販売元である。
「将棋とお茶は“和”という意味で通じます。藤井さんには『伊右衛門』のCMなどに出演いただく予定です」(同社広報)
実は藤井二冠は「お茶」とも縁深いと観戦記者。
「藤井は対局時、1手目を指す前に必ずお茶を飲みます。その所作は『初手お茶』としてファンにも知られ、彼のルーティンになっているのです」
自身でお茶を持参する場合は種類の違う500ミリリットルのペットボトル3本ほどを買い、味を変えて対局中にリフレッシュする。しかも、年齢に似合わず「気遣いの人」だという。
「お~いお茶」が…
「以前から、テレビ中継が入る対局では商品名が映らないように藤井はペットボトルのラベルをはがすことが多いです」(同)
とはいえ、CMに出るようになれば、伊右衛門しか持ち込めず「味変」できなくなるのでは、と周囲は懸念しているのだ。
ささいなことに思えるが、アスリート同様、棋士もルーティンを重要視する向きは多い。
ベテラン棋士が言う。
「棋士のルーティンは大事だよ。イチローが打席に入るときと一緒さ。加藤一二三九段はルーティンとして対局中にうな重を食すけど、それは食事を何にするか、考えることが対局の邪魔になるから。スポンサーが絡んで思い通りにならず、藤井くんの集中力が落ちなければいいけどね」
サントリー以外の飲料メーカーが関係する対局もある。例えば、最年少二冠を達成した昨年8月の王位戦。
「『お~いお茶』の伊藤園が協賛し、対局の部屋には『お~いお茶』が用意されていました。今後、同様のことがあれば迷いが生じそうですよね。伊藤園を避ければ、サントリーに配慮したように見えますし、かといって、『お~いお茶』を飲むわけにも……」(先の記者)
さて、6日に行われた藤井二冠の新年初対局。手元を見ると、なんとラベル付きのサントリー伊右衛門が! 対局は見事に勝利したものの、いくらなんでも「気遣い」が過ぎる気もする。
とまれ、ブランドが限定されても「初手お茶」の効果が引き続き発揮されることを祈るばかりである。