毎年大勢が死ぬのになぜ「餅恐怖症」の人はいないのか 事実よりも感情を優先してしまう人間(古市憲寿)

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「Frighten-titillate(恐怖と刺激)」。映画「スキャンダル」でアメリカのFOXテレビの流儀として説明される言葉だ。視聴者を釘付けにするには、絶えず恐怖と刺激を与えろというのだ。

 FOXに限らず、世界中のマスコミは「恐怖と刺激」戦略と無縁ではいられない。新しい感染症が流行すれば、まるで世界が終わるかのような緊張感で恐怖を煽り、たった一件の猟奇殺人に対して、日本が無法者だらけの修羅の国になってしまったかのように騒ぎ立てる。

 だけどこれはマスコミが悪い、という単純な話ではない。...

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