「ジャニーズJr.」22歳活動終了制度導入に見える、「可愛い子には旅をさせよ」の愛

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異端児・生田斗真の例

 もうひとつ、昨今のジャニーズの流れとして、大きくあったのはCDデビューしていなくてもジャニーズ事務所所属タレントとして活動を続けられるというシステムである。

 もともと「ジャニーズJr.はCDデビューをもって卒業」という慣習が長く続いていたが、それを打ち破ったのが生田斗真である。

 生田斗真はCDデビューこそしていないが、多くのドラマや映画出演を経て人気が沸騰した。

 ジャニーズJr.という枠に収まらないと判断されたのか、ジャニーズ事務所の公式サイト上に個人ページができるという静かな形で、卒業。

 その道には風間俊介ら多くのタレントが続いている。
 
 CDデビューこそしていないものの、舞台や大河ドラマ出演に情報番組のMCにと、彼らの活躍が、ジャニーズという看板に彩りを加えていることは確かだ。
 
 生田斗真や風間俊介は、自分たちがジャニーズでは異端であることを自認し、よくそれを語っている。
 
 2人とも10代の頃からジャニーズJr.を引っ張っていたが、大きく世間の注目が集まったのは20代になってからだ。

 そう考えると22歳制度は、いささか早いタイムリミットのようにも思える。

 では彼らのような“傍流の可能性”は排除されてしまうのだろうか。
 
 今回の事務所発表の文章では「アイドル・タレントとしてデビューを目指すことが大前提であるという基本に改めて立ち返る」と書いてある。

「アイドル」と「タレント」が併記されている上に、「デビュー」を「CDデビュー」とは明言していない。

 明確な定義がされているわけではないが、ここでの表現を借りるなら生田や風間のようなタイプは「タレントとしてデビュー」のタイプのはずだ。

 王道ルートに絞った原点回帰であれば「アイドルとしてCDデビュー」と書いてあるはずで、2人のような「“傍流の可能性”を潰すことではない」「活動の多様性を奪うものではない」というメッセージと受け取ることができるだろう。

公式の写真やグッズの売上も本人に還元

 今回の制度は、準備期間を経て、2023年3月31日より適用されるとのことなので、詳細は未定、もう少し身も蓋もない言い方をすれば「どのレベルのタレントまで残れるのか」はわかっていない。

 ただ「22歳までに芽を感じられなかったらサヨウナラ」制度であることは確かである。

 一瞬、冷たい言い方にも聞こえるかもしれないが、これはジャニーズ事務所について深く考えれば考えるほど、愛なのではないだろうか、と思えてくる。

 あまり知られていないかもしれないが、ジャニーズ事務所は超がつく優良事務所である。

 ジャニーズJr.はレッスンを受けられるが、レッスン料は無料。

 お金を払わなくてよいだけではない。

 最近では、他の芸能事務所の若手タレントが、売れるまで充分な給料が支給されていなかったり、売れてもそれまでの投資の回収期間と判断されて薄給だったりといった醜聞が漏れ聞こえてくるようになっている。

 そんなニュースに触れたことがない人でも大方のイメージは「売れていない若手タレントは食べていけない」といったものだろう。

 しかし、ことジャニーズに関してはそんなことはない。

 先輩のグループのバックダンサーだったとしても、ステージに立つといった仕事をしたジャニーズJr.にはきちんとギャラが支払われる。

 公式の写真やグッズの売上も本人に還元される。

 つまり、ジャニーズJr.というCDデビュー前の段階でも“生きていけてしまう”のがジャニーズ事務所なのだ。
 
 さらには不祥事などがない限り、クビを言い渡すこともない。これは、タレントを自らの「子どもたち」と捉えていたジャニー喜多川の愛の土壌の上に成立していたものだと思う。

 ジャニー喜多川の信念は「アイドル作りは人間作り」(*1)だ。

 生前、こうも語っていた。

「親御さんから信頼を受け、大事なお子さんを預かる以上、私も命をかけて自分の子のように教育しようと思ってやってきた」(*2)

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