博多でトランプを支援する「Jアノン」 デモ密着で見えた正体

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ディープ・ステートは中国共産党と結託している

 わが国では言論と思想信条の自由が保障されている。アメリカ大統領選の結果に不満を持ち、日本でトランプを応援するデモをおこなうこと自体は、決して「悪い」ことではない。ただし、仮にデモの参加者たちが奇妙な主張を掲げていたとすれば、他者がそれを批判する自由もやはり保障されているはずだ。

 事実、この日の福岡のデモ参加者は、開始前集会の集合時間である13時30分(福岡市内警固[けご]公園集合)から、デモ終了後の集会(冷泉公園)がおこなわれていた16時ごろまで私が密着して観察していた限り、ネットなどで「Jアノン」と揶揄されるのもやむを得ない気がした。なぜなら、彼らの主張はほぼ、本家のQアノンと同じだったからだ。

 たとえば開始前集会でマイクを握った男性の1人は、アメリカを影で支配するディープ・ステート(闇の政府)はロスチャイルドやロックフェラー、中国共産党と結託しており、GAFAを丸め込んでバイデンを支持している──、といった演説をおこない、大受けしていた。

 他にも、開始・解散時の集会で同様の演説をおこなう人が何人かいた。また、悪魔化したヒラリー・クリントンが子どもを襲っている「ピザゲート事件」(前回大統領選の際にネット上で唱えられた、ヒラリー陣営関係者がピザ屋を拠点に児童性的虐待や人身売買に関係していたとする陰謀論的なネガティブキャンペーン)のイラストを掲げるデモ参加者もいた。

「大統領選ではない」「善と悪の戦いだ!」

 プラカードの文言も興味深かった。主催団体が配った星条旗や、アメリカの大統領選で使われたトランプを応援するプラカードを持つ人も多かったのだが、自作かそれに近いと思えるカードやうちわを手に参加している人も少なからずいたのだ。

「寝ても覚めてもトランプ! トランプ!」

「フェイクニュースを止めろ!」

「これはもう大統領選ではない 善と悪の戦いだ!」(注:こちらは団体支給らしきカードだった)

 私は香港や台湾を含めて、過去にデモを観察した経験が比較的豊富である。

 この日のデモは、たとえば日本国内で労組が動員をかけておこなっているようなデモと比べると、奇妙な活気を感じさせるところがあった。少なくとも一部の参加者については、自分の意志でデモに来ている熱心さも感じ取ることができた。

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