博多でトランプを支援する「Jアノン」 デモ密着で見えた正体

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 アメリカ大統領選においてトランプの敗色が濃厚になった昨年(2020年)11月から、日本でもトランプ支援デモがおこなわれるようになった。米国内で極右的な陰謀論を信奉するトランプ支持者の集団「Qアノン」をもじって、ネット上では「Jアノン」とも通称されている彼らの、正体は果たして何者か。今年春に『現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史』(2月6日刊)、『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』(同3月2日刊)などの刊行を控えたルポライターの安田峰俊氏が、Jアノンたちの「秘密」と外国人の関与に迫った。

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 2021年1月17日、私は福岡の街を歩き続けていた。南国にもかかわらず最高気温6度という寒さに加えて、新型コロナ流行にともなう緊急事態宣言の発令もあって、市内の人通りは少なく街の活気は乏しい。──いま追いかけている目の前のデモ隊を除けば、である。

「バイデンは、トランプの票を盗むな!」

「トランプは、法と秩序を守る善の大統領だ!」

「中国共産党による不正選挙介入を、追及しよう!」

「ゴッド・ブレス・トランプ!」

 大きな掛け声とともに、巨大な星条旗と日の丸が何本もはためくなか、「密」になった隊列が延々と伸びている。なかには、数は少ないものの緑色の台湾旗(台湾独立運動で使われる旗で日本の右派系デモでも使用される)や、巨大な旭日旗を持つ人もいた。

 なお、旭日旗を持っている男性はマスクを着用しておらず、チベット旗・東トルキスタン(ウイグル)旗・南モンゴル旗・満洲国旗と「人権・信仰」と書かれた文字がプリントされた腕章を付けて歩いていた。星条旗と旭日旗が同時に掲げられた下で、満洲国旗の腕章をつけた人が「ゴッド・ブレス・アメリカ!」などと叫んでいる光景はかなりシュールだ。

人数は約250人?

 行進は5梯団にわかれて実施された。出発前集会時点での1梯団の目算の人数から単純計算すると、参加者数は約250人。ただしデモ開始後の印象ではもうすこし多そうに思えた。日本国内のデモとしては(しかも地方都市のデモとしては)まずまずの規模と言っていい。

 デモのルートは天神の中心部をぐるっと回ってから中洲を抜けるもので、歩く距離も2・5~3キロ程度はあったように思えた。隊列は数百メートルにわたって延々と続き、視覚的なインパクトはかなり強い。

 デモの主催者はこの手の活動をやり慣れている印象で、梯団ごとにトラメガを持ったコーラー(スローガンの叫び役)が配備され、特に先頭の第1梯団のコーラーは滑舌がいい。長時間のデモでも、声が嗄れる様子はない。

「……なんなの、この人たち?」

 平時と比べれば数は少ないものの、日曜午後の天神には通行人もいる。私がカメラを片手にデモ隊を追い続けていると、戸惑う若者の会話が耳に入ってきた。「なんでアメリカ大統領のことで福岡でデモやってるんだよ」などという疑問を口にする声も聞こえる。まさにその通りだと思うが、取材者としては追いかけざるを得ない。

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