養老孟司、愛猫「まる」の死について語る 今でも守る習慣…「もうそんなことする必要ないのに」
「19歳になって欲しかった」
訃報がニュースとして配信されたこともあり、弔電も届いたそうだ。その死もまた養老さんの思考に刺激を与えている。
「犬や猫は日本で2千万匹が飼われているとも聞きます。それだけの人がいるから、まるの死がニュースになるんでしょう。猫なんて、役に立つわけではなくて、迷惑をかけるだけの存在なんです。でも、多くの人がそんな迷惑をかけるだけの存在を必要としているとも言える。私もその一人でした。だいだいうちのまるときたら動かないし、ネズミを獲れるはずもない。でもね、だからこそ、あれでも生きているよ、いいんだよねって思える。4キロちょっとの存在なのに、そう思わせてくれました。そういう存在にどれだけ心を癒やされているのか。これだけ飼っている人が多いのは、役に立つか儲かるかといった存在ばかりが重視される社会で、実際の人間関係の辛さの裏返しではないかと思う」
享年19(ヒトで言うと90歳)と、周囲には話されていた養老さんだが、本当は享年18だった。
「どちらでもいいかなと思って、去年あたりから誰かに年齢を聞かれたら19歳だって答えていました。19歳になって欲しかったから」。
多くの人に愛された存在だった。
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